買い物籠を下げたお袋が 俺の手を引いて行く
酒場や賭場に入り浸りの 親父に泣かされても
河川づたいに大きな影と小さな影が揺れる
子供達の為だけに ただ優しく唄ってた…

遮断機が降り錆びた線路を 蒸気機関車が走る
踏切を渡ると河川が流れ 繊維工場の煙
回送電車が操車場に入るその前に
駆け足で早く駆け足で早く 家へ帰った…

週末になると親父はいつも 俺をバイクに乗せた
人気のない海岸線に親父は腰を下ろした
黙ったままタバコをふかし ずっと遠くを見てた
生真面目だけの自分の人生に 憤りを感じてた…

親元を離れ戸惑いながら 月日は流れていった
薄汚れた都会のベランダから 見えない海を眺めた
俺は初めて親父やお袋を 堪らなく愛した
取ったばかりのカーライセンス 
明日 羽田に迎えに行く…