近刊
【自由を盗んだ少年 ― 北朝鮮悪童日記】
金革(著) 金善和(訳) 太田出版 2017/9/8

脱北して北朝鮮から「生還」した少年が、北朝鮮の子供たちの悲惨を赤裸々に書き記し
た衝撃の手記。

「死にたくなかった。どれほど苦労してここまで来たのか。死んで行く人、死んだ人たちを
数えきれないほど見てきて、死体の横で眠ったこともある僕ではないか。誰よりも間近に
数多くの死を目撃したじゃないか。だからこそ、生きたかった。ここでこんなにあっけなく
終わりにしたくなかった」
(本文より)

1990年代以降、それまでの食糧配給システムが崩壊した北朝鮮では、親の餓死、ある
いは食糧難のために親に捨てられストリートチルドレンとなった子供たちを「コッチェビ」
と呼ぶ。

彼らは、飢えないために、生きのびるために、かっぱらい、スリ、空き巣など「反社会主義
的行為」とされる犯罪行為に手を染めざるを得ない。

著者は、4歳のときに母を亡くし、「英雄」の称号を持ち元スパイだった父の体罰、継母と
の確執、学校への違和感から、7歳のときからコッチェビ(ストリートチルドレン)として生き
ていく。

13歳のときに父が餓死し、飢餓と伝染病が蔓延する孤児院に入れられるが、彼に負わ
された役割は、次々に死んでいく子供たちを埋葬することだった・・・・・・。