「減少傾向にある。少し安心している」

 大会組織委員会は14日の記者会見で、猛威をふるったノロウイルスの感染状況について、こう見解を明らかにした。
13日時点で感染者は199人に増えたが、新たに確認された感染者は5人にとどまったからだ。

 感染拡大が収まりつつあるのはいいことだが、組織委の対応はお粗末だった。

 今月初めにノロウイルスに感染したと推定される食中毒症状が明らかになったが、「団体給食が原因とみられる」と発表されたのは、
13日のこと。しかも発生源となった警備員の宿泊施設で、調理用の地下水が、糞便に汚染されていたというのだから驚くしかない。

 大会運営のずさんさは、これにとどまらない。

「100人の宿舎に洗濯機が3台しかない」「居室の温水シャワーが出ない」などの不満がボランティアから続出。
1月末までに2194人が離脱したことが伝えられた。開会式のリハーサルが行われた今月3日にも、
式典進行の業務を担当していたボランティア100人超が組織委員会への不満を訴え、ボイコットする騒ぎが起きた。

開幕後も混乱は収まっていない。大会前から懸念されていた強風と極寒が、選手を苦しめているのだ。
大会第3日の11日には強風でアルペンスキー男子の滑降が延期となり、スノーボード女子のスロープスタイル予選が中止となった。
今では、競技実施時間の延期は当たり前となっている。

 劣悪環境は選手のコンディションにも影響を与えている。ジャンプの男子個人ノーマルヒルに出場した45歳の大ベテラン、葛西紀明ですら
「もう信じられない。気持ちがひるんじゃう。『こんなの中止でしょう』と心の隅で文句を言いながら寒さに耐えていた」と話したほどだ。

 韓国に精通するジャーナリストの室谷克実氏は「そもそも、IOC(国際オリンピック委員会)が平昌を五輪の開催地に選んだこと自体が間違いだった。
雪質が悪く、強風で競技に支障をきたすかもしれないし、しかも北朝鮮がシャシャリ出てきてどうなるか分からない。
そんなところを、スポーツの貴族集団はなぜ選んだのか」と疑問を呈する。