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 しかし、危険もある。ひとつはイラン、そして他国が、核兵器を開発している
途中ではなく成功させた後の方が厚遇を受けられるとの結論に至る可能性だ。

 もうひとつは平壌でトランプ政権がどんな体制の相手と対峙しているのかを
忘れてしまう危険だ。イランと同様、北朝鮮は国外でさまざまな問題を
引き起こしてきた。日本人の拉致、韓国船への攻撃、兵器技術の海外輸出などだ。

 これもイランと同じく、北朝鮮には米国民の拉致という悪い癖がある。
先週3人を解放したが、このうち2人はトランプ大統領の就任後に拘束されていた。
トランプ氏は金氏に謝意を示し、「この信じられないほど素晴らしい3人」への
金氏の対応をたたえた。一方で、4人目の米国人、故オットー・ワームビアさんに
哀悼の意を示した。大学生だったワームビアさんは1年半にわたり
北朝鮮の収容所に拘束された末、瀕死の状態で帰国した後に死亡した。

 自国民に対する北朝鮮の扱いはイランよりはるかに悪い。
米国務省が発行した2017年版の人権報告書には、北朝鮮に関する注目すべき内容が
掲載されている。それによると、北朝鮮の国民は報告対象のほぼ全てのカテゴリー、
すなわち、司法手続きを経ない処刑、失踪、恣意(しい)的な逮捕と拘束、拷問、
政治収容所(過酷な環境が多い)、生命への脅威の面で、政府によるひどい人権侵害に
直面しており、それには強制労働、不公正な裁判、市民生活の多くの側面に対する
厳格な管理(プライバシー・家族・家庭・通信への恣意的な干渉や言論・出版・集会・
連携・宗教・移動の自由の否定など)、自らの政府を選ぶ能力の否定、中絶の強要、
人身売買、労働者の権利の厳しい制限(独立した労組を組織する権利の否定や、
大量動員および再教育制度に組み込まれた国内での強制労働など)があった。