判例2
対橋下損害賠償請求事件 最高裁判例平成23年7月15日(ハシゲ判例)
「その弁護活動が,重要性を有することからすると,社会的な注目を浴び,その当否につき国民による様々な批判を受けることはやむを得ないものといえる。」
「第1審原告らについてそれぞれ600件を超える多数の懲戒請求がされたについては,(中略)インターネット上のウェブサイトに掲載された本件書式を使用して
容易に懲戒請求をすることができたことが大きく寄与しているとみることができる。」
「本件懲戒請求は,本件書式にあらかじめ記載されたほぼ同一の事実を懲戒事由とするもので,広島弁護士会綱紀委員会による事案の調査も一括して行われたとい
うのであって,第1審原告らも,これに一括して反論をすることが可能であった」
「本件懲戒請求については,同弁護士会懲戒委員会における事案の審査は行われなかった」
「第1審原告らに反論準備等のために一定の負担が生じたことは否定することができないとしても,その弁護士業務に多大な支障が生じたとまでいうことはできない。」
最判平成23年7月15日(ハシゲ判例)の法廷意見を担当した(起案に携わった)中島基至最高裁調査官による解説はこちら。
※調査官解説は最高裁判例解読に必要な文献の筆頭。
「懲戒請求に係る不法行為該当性の判断基準は,原判決が引用する前掲最三小判平成19・4・24(略)が示すところであり,1審判決が説示するとおり,
虚偽の懲戒請求をすれば虚偽告訴罪(刑法172条)という刑事罰が科されることになる。」
「懲戒請求の上記性質から,本判決と平成19年判例との関係も問題となろうが,本判決は表現行為の違法性が問題とされる事案であるのに対し,
平成19年判例は懲戒請求自体の違法性が問題とされる事案であるという点で異なるため,平成19年判例の射程は,本件事案には直ちには及ばないと理解されるべきであろう。」
「ただし,呼び掛け行為が,視聴者の主体的判断を妨げて懲戒請求をさせるような『煽動』にまで及ぶような場合など,
懲戒請求を呼び掛けた者が懲戒請求の行為主体であると規範的に評価できるような場合には,平成19年判例が説示する趣旨を踏まえ,
上記呼び掛け行為の不法行為該当性が検討される余地もあり得るように思われる。」
「また,懲戒請求自体が不法行為を構成するような場合には,当該懲戒請求を呼び掛ける行為は,幇助犯,教唆犯として不法行為責任を問われることもあり得るであろう。」
条文としては民法709条違反(故意/過失のある懲戒請求の場合)。
余命儲他馬鹿向けに要約
1.ハシゲ判例は平成19年4月24日判決を変更する内容を含まない。事案が違う。むしろこの判例を「前提とする」判断である。
2.ハシゲ判例は「違法性の判断の枠組み」ではなく「扇動の違法性を前提とする賠償金の発生する/しない例」についての判示である。
3.虚偽の懲戒請求は不法行為であり犯罪である。これまでの判例通説と何ら変わらない。
4.怪文書送付者の法的責任は扇動者がいることをもって否定されない。
5.虚偽の懲戒請求の扇動者(ここではハシゲ)の不法行為責任や刑事責任は当然に問われうる(本件では否定されたが)。※https://i.imgur.com/GdAmXC0.jpgハシゲ処分w
6.ハシゲと羽賀芳和とで判断枠組みを変える意図を裁判所は有していない(念のため)。