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ワイが率先して立てるで

安重根の裁判は形式だけで即死刑かと思いきや
あまり知られてないが弁護士の水野吉太郎が結構頑張ってた
『安重根事件公判速記録』より

弁護人は思います。国歩艱難の場合に、意見の衡突や誤解などから、要賂の人に対して刺客の起つた〈タッタ〉例は誠に沢山であります。
日本の維新前、鎖国の夢の未だ醒めざる当時の有様は、韓国今日の現状と大分似て居ます。堺事件や生麦事件等もありましたけれども、特に此の事件と最も似寄りて考へられますには、桜田門外に水戸の浪士が大老伊井掃部頭〈カモンノカミ〉を刺した事件であります。
伊井大老は、世界の大勢から見まして鎖国攘夷は到底不可能であつて、開国進取の外に途がないと云ふ事を察し、猛然俗論を排斥しまして、諸外国と通商条約を締結せむとしたのであります。
浪士等は、外国の圧迫によりて通商をするは、神州の面目に関すると云ふ一片の感情から、世界の大勢をも弁へず、漫りに〈ミダリニ〉尊王攘夷の論を唱へて、一代の偉人を桜田門外に斃した〈タオシタ〉のであります。
当時に於きましては、天下に世界の大勢を詳か〈ツマビラカ〉にするものがありませなんだ故に、一世を挙げて浪士等に同情をしたのは勿論でありますが、時世の進歩致しました今日と相成〈アイナリ〉ましても、彼の〈カノ〉浪士等〈ラ〉が世界の大勢に暗くして、
一代の偉人を斃し、甚だしく大事を誤まりし事は認めて居りまするけれども、彼等が一身を捨てて君国の為めに酬ゆる〈ムクイル〉と云ふ赤誠から、
敢て此の事を推行〔ママ〕したと云ふ所謂報国の丹心に対しては、多大の同情を以て居るのでは有ませんか。
特に之等〈コレラ〉の人々の謡つた詩歌は、今も尚人口に膾炙〈カイシャ〉して後に伝はり、其意気は確かに国民の手本ともなるべきものと認められて居ると信じます。