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 米国と北朝鮮は非核化交渉で行き詰まっている。米国は北朝鮮の核兵器放棄に向けた
具体的な約束を望んでいる一方で、金政権は米国による早期の制裁解除を含む、
よりゆるやかで段階的なプロセスを望んでいる。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、ここ数カ月にわたって
頻繁に同国の自立に言及しており、傷ついた同国経済の立て直しを約束している。
同国は今年ベトナムで行われた米朝首脳会談が合意なしに終わったことを受け、
ますますいら立ちを強めている。ここ1カ月の間には、一連の低レベルの挑発行為を
行い、トランプ大統領以外の米当局者を攻撃したり、兵器の実験を3度行ったりした。

 国連の報告書によると、2018年の北朝鮮の食料生産量は、
この10年で最も急激な落ち込みを記録し、前年比9%減となった。
熱波、洪水や台風による影響を受けた。しかし、昨年の収穫不足によって
食料供給が劇的に落ち込むかどうかは数カ月を経なければ分からない。

 ワシントンに本拠を置く韓国経済研究所(KEI)でシニアディレクターを務める
トロイ・スタンガロン氏は「今年は幾分悪化する可能性はあるが、それが危機的な
状況かは分からない」と話し、「北朝鮮は常に食料に困っている国だ」と指摘した。

 エコノミストや最近北朝鮮を訪問した人々によると、
北朝鮮の国内経済は、制裁が強化されているにもかかわらず、
驚異的な粘りをみせており、違法取引やその他の闇市場での取引によって、
人々が食卓に食料を並べるのに十分な商取引が行われているという。

 実際、コメの相場はここ数週間下がっており、供給が引き続き堅調であることを
うかがわせる。ウェブサイト「ノース・コリアン・エコノミー・ウオッチ」の
共同編集者を務めるベンジャミン・カツェフ・シルバースタイン氏によると、
北朝鮮の食料輸入は、2017年9月の制裁強化の対象外であり、
おおむね横ばいに推移しているという。大豆とトウモロコシの生産量は
近年より少ないものの、2012年ないし13年と同程度とみられる。