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北京五輪で南北首脳会談

 さらに、8月6日のASEAN地域フォーラム(ARF)のオンライン外相会談で、
王毅外相は8月10日に始まる米韓合同演習に関し
「現情勢下で建設性を欠いている。米国がもし北朝鮮との対話を回復したいのなら、
緊張を招くいかなる行動もすべきではない」と中止を求めました。
中国外交部のサイト(中国語版)で読めます。これも選挙干渉の一端です。

――なぜ、合同演習が大統領選挙に影響するのですか?

鈴置:文在寅政権は合同演習を中止することで北朝鮮の歓心を買い、
南北首脳会談に応じて貰う方針でした。
首脳会談が実現すれば、来年3月の大統領選挙で左派候補に追い風が吹き、
退任後の文在寅氏が監獄に行くリスクも減るとの計算です。

 左派が政権を取る――つまりは、親米保守派がさらに5年間、
政権の座から追いやられるわけですから、中国にとってもありがたい話です。

 それに南北が首脳会談を実施するとしたら、来年2月の北京五輪の場を使う可能性が高い。
習近平主席が南北のトップを呼んで和解させる映像は
「米国に代わって朝鮮半島を仕切る中国」とのイメージを世界に広めるでしょう。
もちろん、中国はこんな本音はチラとも見せず、
「緊張緩和」の大義名分を前面に押し出しています。

――でも、米韓合同演習は始まってしまいました。

鈴置:合同演習が実施された後も中国は介入可能です。
北朝鮮が米韓合同演習を嫌がるのは、極度の食糧不足からです。
米韓が演習を始めれば、北朝鮮も対抗演習を実施する必要がある。
軍にもきちんと食糧を供給できない今、下手に対抗演習をすれば反乱が起きかねない。

 中国には、食糧援助をエサに金正恩(キム・ジョンウン)総書記を北京五輪に
呼びつける手があります。監獄行きを何とかして逃れたい文在寅大統領はいつでも、
どこでもホイホイ応じるわけですし。

https://www.dailyshincho.jp/article/2021/08161701/?all=1&;page=2