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10カ月ぶりのウォン安

「韓国売り」の引き金となったのは米投資銀行、モルガン・スタンレーが発表した
レポート「Memory-Winter is coming」(メモリーの冬がやって来る)」でした。

 なぜ、メモリーの値崩れが予想されるのか――。理由は大きく分けて2つです。
まず、新型コロナによる巣ごもり需要が一段落し、
パソコン向けメモリーの在庫が積み上がってきたこと。
さらに、ロジックの供給不足により完成品の生産は未だ低迷しており、
それに組み込むメモリーの需要も頭打ちとなっているからです。

 世界中でメモリーを製造する企業の株が売られました。
ことに大きな影響を受けたのは韓国でした。
この分野で世界1位の生産量を誇るのはサムスン電子、2位はSKハイニックスです。

 8月12,13日の2日間で外国人投資家は前者を4兆ウォン、後者は1兆ウォン売り越しました。
その結果、2日間でそれぞれの株価は5・23%、3・79%下がりました。

 この2社は韓国証券市場で時価総額1位と2位の超大型株です。
KOSPI(韓国総合株価指数)も12日は前日比0・38%、13日は1・16%も下げました。

 それにつれてウォンも売られ、8月13日は1ドル=1169・0ウォンと10カ月ぶりの安値を
付けました。昨年末の1086・3ウォンと比べ7・6%、週初の8月9日と比べても2・4%安です。


反米政権が呼ぶ第2のIMF危機

――このまま「韓国売り」が本格化するのですか?

鈴置:それは分かりません。金融監督院の発表によると7月、外国人は上場株式を
3兆7780億ウォン売り越しましたが、上場債券は9兆2280億ウォン買い越しています。
まだ、「韓国を見限った」とは言い切れないのです。

 ただ、韓国金融市場のリスク要因がさらに増えた、との認識が韓国人投資家の間にも
深まったのは事実です。朝鮮日報は「『3本の矢』が突き刺さる韓国…ウォン・ドル相場、
10カ月ぶりの安値」(8月13日、韓国語版)で、テ―パリングとワクチンの接種不足に加え、
メモリー不況がリスク要因に浮上したと断じました。

 この記事には読者が「文在寅や李在明のようなポピュリズム売国奴のために
第二のIMF危機が来るだろう」と書きこみ、多くの賛同を得ています。
李在明氏も文在寅氏と同様、反日反米路線で人気を得てきました。
米国はそんな左派政権の韓国を許さないだろう、との悲鳴です。
「メモリー不況説」が米国のお仕置きのムチをより強力にすることは間違いありません。