ベトナムで民間人を大量虐殺、「なかったこと」にする韓国
JBpress 9/8(水) 6:01配信
(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米国の大手紙ニューヨーク・タイムズ(8月22日付)が、
ベトナム戦争に参戦した韓国軍がベトナム民間人を大量に虐殺したことを
韓国政府は今なお放置したままである、という趣旨の記事を掲載した。
50年以上前の事件をいま取り上げるのは、ベトナム側の被害者が昨年(2020年)、
韓国政府に対して賠償と謝罪を求める訴訟を起こしたことが直接的な契機のようだ。

 だがそれ以上に、米国にとって重要な同盟国と友好国の間に、関係悪化につながりうる
深刻な事件が未解決のまま残されていることへの米側の懸念も指摘される。

 一方、本記事は韓国のあからさまな二重基準を示しているともいえる。
韓国は日本に対して過去の行動への賠償や謝罪を求め続けながら、
ベトナム戦争での民間人虐殺の罪を糾弾されてもなんら対応しないからだ。


■ 韓国軍に家族を殺されたタン氏

 ソウル発のこのニューヨーク・タイムズの記事は、「ベトナム戦争の犠牲者たちは、
韓国側が今も(虐殺事件に関する)回答を示す義務があると述べている」
という見出しだった。

 グエン・ティ・タンという61歳のベトナム人女性が新たな訴訟を起こし、
ベトナム戦争中に韓国軍に自分の家族を殺されたことへの賠償と謝罪を韓国政府に
求める、という趣旨だった。この訴訟は2020年4月にソウルの裁判所に提起された。
タン氏は「1968年2月にベトナム中部のクアンナム省で自分の母、姉、兄たちが
韓国軍海兵隊の部隊に殺された」と訴え、自分自身も重傷を負ったと主張していた。