深夜、ウッさんはゲームに興じていた。
 親の金で買ったゲーム機に親の金で買ったゲームソフトを入れて、親の金で買った専用コントローラーを握り、
親の金で買ったBOSEのヘッドホンで頭を覆いあらゆる雑音を排除し、親の金で買ったジュースを飲みながら、親の
金で維持されている電灯の光に照らされて、親の金で買ったパジャマを着ながら。自分の金で買ったものなどウッさんの
部屋には無い。空気からあらゆる娯楽品まで、全て親の金で揃えたものだ。ウッさんは無職だ。今年で・・・もう何年目だるうか?
 ウッさんは凶器していた。ゲームが佳境に差し掛かっていた。銃で人間と怪物をひたすら撃ち殺すだけの単純なゲーム。目的は
殺戮であり、ただプレイヤーに暴力的な快楽を体験させること、それだけに特化している。ウッさんはこのゲームにのめりこんだ。
目覚めてから疲れて眠るまで、ひたすら殺し続けた。眠っている間も夢の中で殺した。食事や排泄はどうしても我慢できなくなったときだけ、
自分の部屋の中で済ませた。風呂には入らない。現在、室内には常人なら耐え難い悪臭が満ちている。ウッさんは気にならない。
 ラストステージに突入した。わらわらと群がってくるゾンビや兵士を、ウッさんは殺した。マシンガンのフルオートがゾンビをミンチにした。
ショットガンの一撃が犬の化け物の頭を砕いた。分厚いナイフを振り回すと、兵士の首が飛んだ。ウッさんは恍惚とした表情を浮かべている。
 最後の敵についに辿り着いた。複数の化け物と人間を組み合わせて作った、極めつけの怪物。あらゆる災害の源、世界の害悪、
存在するだけで皆が不幸になる存在・・・。ウッさんはニヤリと笑うと、怪物に向かって突進した。
 銃を撃ち、ナイフを振るった。自らもダメージを受けながらも、ゆっくりと強大な怪物を削っていった。忍耐が必要だった。攻撃に耐えて、機会を待つ・・・。
 怪物が膝をついた。ウッさんは勃起していた。必殺の一撃が放たれて、怪物が倒れ、ウッさんは奇声をあげなはら射精し。
 そして背後からゆっくりと近づいていた父親のハンマーが、ウッさんの頭を叩いた。ウッさんは意識を失った・・・。