母は窓の外を見ていた・・・ 

母は小さな頃のウッさんの姿を目に浮かべ、穏やかな気持ちで外を見ていた。 
駆け回るウッさんの姿が自分の幸せそのものだった。 
夜泣きするウッさんに起こされても、ご飯を散らかして部屋の掃除が大変になっても、 
お母さんは大好きなウッさんのしたことだから幸せだった。 

学校へ行くようになって、きっといろんな体験をして成長してるんだろうな 
ってお母さんは想ってた。 
あまり外へ行かなくて、友達とちゃんと仲良くできてるのかな? 
ってお母さんは心配だった。 
お母さんは何があってもウッさんの味方でいようと、ウッさんを信じていたいと考えていた。 

案の定、ウッさんは自分の思うようには成長できなくて、悩んでいた。 
ウッさんは悩んだまま立ち止まっていた。 
立ち止まったままずーっとそこにいた。 
大人になっても成長しないウッさんを、お母さんはずーっと見守っていた。 
お母さんの負担は大きくなっていった。 

でも 

ウッさんは自分のことしか見られなかった。 
誰よりも可哀想な自分を誰よりも哀れんでいた。 
哀れんで、悔しくて、悔しいのが嫌で、悔しいことを忘れた。 
悔しいことを忘れたら、どうしたらいいのかも忘れた。 
そうして将来を諦めたウッさんは、遊びほうけてそのままいなくなった。 

お母さんはひとりぼっちになった。 

そして今、庭を見ている。成長していたころのウッさんの姿を探して。 
最後までウッさんを信じていたおかあさん。 
ウッさんに代わって、ありがとう。