「肩幅の未来」

「澤田さんてさ、営業先の子と付き合っているらしいわよ。」
「私は、同窓会で再会した元カノと、ヨリを戻したって聞いたわよ。」
「ちよっと、それよりもっと驚くことがあるわよ。」
「なになに、なによ。」
「福山君、えりちゃんと腕を組んで〇〇カフェへ入るとこ見たのよ!」
「ええっ!、それは流石にマズイんじゃないの?」
「そうよ、めぐみさんと付き合っているのに、えりちゃんも、どういうつもりなのかしら・・・ねぇ。」

・・・・・あの日、会社のトイレで交されていた会話を・・聞いてしまった・・・・・
よりによって、えりちゃんとは、えりちゃんは入社したばかりで私の直接の部下だ。信じたくはなかった・・・

11月の終わりの日曜日午後三時。 彼とよく行っていた甘い香りが漂う「〇〇〇カフェ」に私は一人で座っていた。
入口からまっすぐ進んだ左角に設けられた空間は、お一人様ブースだ。その中の一席に私は座る。

この席にいると入口から奥まで店内の様子が良く見える。お店のメインである二人席、四人席は、
可愛い女の子達が、楽しそうにおしゃべりしている。そのテーブルには、色とりどりのトッピングがされた
パンケーキが並んでいた。このお店はいつも賑わっている。パンケーキブームで有名になったお店の姉妹店
と言うこともあり、単純に、ここのパンケーキが美味しいからだと思う。特にふわふわのパンケーキが美味しい・・

家から遠いが、ここの所、私は毎日通っていた・・・ただの一つを除いて、他のメニューすべて制覇した。
その最後の一つは、meetキャラメルパンケーキ。いつか彼と一緒に食べるはずだったパンケーキ。
今日注文したパンケーキはベリーベリーパンケーキ。イチゴとブルーベリー、ラズベリーが山盛りの
生クリームの上に、さらにこれでもかと乗っている。セットのドリンクはグレープフルーツジュース。

一番のお気に入りメニュー。店内に流れる曲も変わった。今、その曲の歌詞が心を締め付ける・・・
ナイフとフォークを手にしたまま、唇をかみしめて上を向いた、下を向いたら、きっと泣いてしまうから・・・
その時、入口の自動ドアが開いて、カップルが入って来た ・・・     ・・・彼とえりちゃん・・・
       
               ・・・・・・・・・・・あわてて顔を下に向けた・・・・・・・・・・・・・

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