アニメーターの質(1/2)

京都時代に比べて、僕のコンテの質はますます下がっていると思う。
いや、下げるしかないのだ。
『薄〇』も、コンテのクオリティーとしてはもうギリギリまで下げた。
だって、描けるアニメーターがいないのだから。
描けるアニメーターが寄ってこない、と言った方が正解か。これは自業自得なのかも知れないが(笑)。
まだ若手で描けない方がいい、教えれば段々描けるようになってくる。
面倒なのは、というかもう懲り懲りなのは、ベテランだ。
彼らはさぞ自分が描ける!と自信満々で打ち合わせに臨んでくるが、出てくるのはただの手抜きの落書きだ。
良くもまぁ恥知らずにこんなものを……と思ってしまう。
ご本人の名誉を重んじて敢えてイニシャルにしておくが、かつて名キャラクターデザイナーとして、そしてパースの大切さを本にして世に知らしめたKというレジェンド級のアニメーターと、『薄暮』で初めて仕事した。
「未だにお富さんが必要としているのは、俺だよ」
とか言うものだから、おお、これは……!と思ったが、
結局騙された。
打ち合わせで自分を大きく見せようとするアニメーターは間違いなくヘタクソ。それを改めて確認するだけだった。
彼に、佐智が右斜め奥に移動する、という作画をやってもらった。
右斜め奥に移動するのだから、体の向きは若干奥へと角度が変わる。
しかし、彼の作画は角度がまったく変わらず、そのまま奥へと行くものだから、単に縮小したように見えた。
これにはブチ切れて、全部修正するのもバカバカしくなって、一枚身体の確度を変えた絵を描いて「これで解るやろボケ!老害!」みたいなコメントを添えて、リテイクで返した。
(続く)