2017年6月16日、南シナ海問題で中国と対立するベトナムの対日・対米外交に中国メディアが注目している。特に日本はベトナムにとって「鉄の戦略パートナー」と指摘。米国とともに「防衛関係も近年、力強く発展している」として、中国をけん制するしたたかなベトナム外交に警戒感を深めている。

ベトナムのフック首相は5月末から6月初めにかけて日米両国を相次いで訪問したが、中国網は一連の外交日程に触れた記事「ベトナム、対米・対日外交で巧妙に計算」を掲載。「ベトナムの大国との外交におけるベトナム・米国、ベトナム・日本の関係には共通点が多い。いずれも経済優先で、これに政治・人文関係が続く。防衛関係も近年、力強く発展している」とした。

フック首相の就任後初の訪米については「一言でまとめるならば『爆買い』だ。米国の経営者との会談に時間をかけ、代表団を率い米国のハイテク製品を購入した」と前置き。

「トランプ大統領の就任前後、ベトナムメディアは『米国がアジア太平洋を見捨てるか』を大きく取り沙汰し、米国が孤立主義に回帰することを懸念した。ベトナムにとって、米国の『アジア太平洋回帰』戦略は大きな戦略的利益をもたらす」と論評した。

しかし、「トランプ大統領の就任後の発言と外交活動により、ベトナムは焦りを覚えている。いわゆる『トランプの霧』の中で、米国の政策方針を把握する必要がある」と分析。「今回の訪米には、米国の外交政策の動向に探りを入れる狙いと、『爆買い』により米国から重視されるという狙いがあった」とみている。

日本に関しては「フック首相は就任からわずか1年余りで、すでに2回も訪日している。安倍晋三首相が今年1月にベトナムを訪問してから間もなく、天皇皇后も訪問した」と言及。

「他国と比べると、日本はベトナムにとってまさに『鉄の戦略パートナー』だ。両国関係は経済・貿易・人文・教育・医療などを網羅している。両国間の協力水準は中国とベトナムに及ばないが、いわゆる『海上係争』がなく、かつ双方とも中国けん制の需要を持つことから、親密ぶりをうかがうことができる」としている。

さらに「ベトナムは米国よりも日本の方が自国からの友好を必要としていることを熟知している。ベトナムは日本が東南アジアを見捨てることを心配する必要はなく、また日本の中国台頭への焦りがすぐに解消されることがなく、自国が戦略的な価値を持っていることを知り抜いている」と強調。

「ベトナムは日本の中国けん制の心理を利用し、自国の利益を最大化しようとしている」と述べている。

Record china 配信日時:2017年6月18日
http://www.recordchina.co.jp/b181263-s0-c10.html