THAAD(高高度防衛ミサイル)配備の余波などで中国から韓国を訪問する患者が減少し、美容整形、関節脊椎分野の病院の競争が激しくなったことで、経営危機を迎えている開業医が増えている。医師を減らしたり廃業を選択する医療機関も多い。専門家らはこのような危機状況を韓国医療機関の体質改善の機会にするべきだと指摘している。 

  ◆増える美容整形外科の廃業 

  健康保険審査評価院によると、今年1−4月に廃業した整形外科は26カ所にのぼる。前年同期(18カ所)、2015年同期(16カ所)に比べ大きく増えた。今年廃業した整形外科の半分はソウル江南区(カンナムグ)にある病院だった。整形手術のメッカと呼ばれたソウル江南区狎鴎亭洞(アプクジョンドン)と新沙洞(シンサドン)の整形外科通りも以前とは違う。付近の公認仲介士事務所の関係者は「廃業でなくとも病院の規模を縮小するため移転する整形外科が多い」とし「空室率は30%ほど増えた」と説明した。 

  手術費割引競争も激しい。患者が減ると、中大型の整形外科までが手術費引き下げを始めた。新沙洞のA整形外科は120万−150万ウォンだった脂肪再配置、リフティング手術などを5月からは100万ウォン(約10万円)で受けることができると広告を出している。アン・ゴンヨン大韓ブランド病院・医院協会長(コウンセサン皮膚科代表院長)は「この数年間、美容整形外科が競争しながら病院を拡大し、中国語コーディネーターや海外マーケティング職員を雇用するなど大規模な投資をしてきた」とし「中国人患者が急減しているため、手術費の引き下げや病院の縮小を始めている」と説明した。 

  ◆関節脊椎市場の競争 

  中小型医療機関の経営難が本格化したのは2015年にMERS(中東呼吸器症候群)事態が発生してからだ。MERSが流行した5−7月には患者が途切れ、事態が落ち着いても容易には回復しなかった。中国で韓国遠征整形手術に関する世論が悪化したうえ、THAAD事態までが発生し、整形外科が直撃弾を受けた。 

  過剰手術世論も広がり、関節脊椎分野の病院のリストラも始まった。手術が多い整形外科や神経外科が停滞すると、リハビリ医学科、麻酔痛症医学科、韓方病院などが非手術脊椎治療市場に参入した。患者誘致のために非給与検査費を割引する病院も増えた。ソウル永登浦(ヨンドンポ)のある関節脊椎病院は通常30万−50万ウォン水準の磁気共鳴画像装置(MRI)検査費用を16万ウォンに引き下げた。ソウル江西区(カンソグ)の脊椎病院の関係者は「病院に垂れ幕を設置するだけでも他の病院が地域の保健所に申告するほど競争が激しい」と語った。 

  ◆「体質改善の機会に」 

  整形外科などは収益を出していた代表的な診療科だ。しかし最近の危機を迎えて、体質改善の機会にするべきだという指摘が出ている。手術が必要のない患者にまで無理に手術を勧める過剰診療で規模を膨らませてきたのが危機の導火線になったという反省からだ。 

  中国に偏った海外患者誘致戦略も修正が必要だという声が多い。東南アジア、ロシア、米国、欧州などで整形の需要が増えているからだ。チン・ギナム延世大保健行政科教授は「市場の多角化を通じてリスクを分散する必要がある」とし「量よりは質を中心に海外患者誘致事業を転換しなければいけない」と述べた。


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[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]2017年06月29日 13時48分