韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と、アメリカのドナルド・トランプ大統領による初の首脳会議が終わった。文大統領にとっては大統領就任後、初の外遊となったアメリカ訪問の成果と課題に注目が集まるところだが、相手国を見つめる米韓の眼差しに、意外なギャップがあることをご存じだろうか。

まずは韓国である。韓国人の“アメリカ人好き”は世界最高レベルというデータがある。

米世論調査機関『ピュー・リサーチセンター』がアメリカを除外した37カ国、4万447人を対象に設問調査を実施し、その調査結果(調査期間は2月16日〜5月8日)を6月26日(現地時間)に発表したのだが、それによると、韓国人のアメリカ全体に対する好感度は75%で、全世界3位。

また、「アメリカ人」に対する好感度は86%にまで上ったという。ちなみに日本は75%となっており、韓国の数字はベトナムと並ぶ世界1位タイだった。

しかも、アメリカ人に対する否定的な評価は韓国9%、ベトナム12%となっている。好感度と否定評価を総合すると、韓国人は世界一の“アメリカ人好き”といっても良いかもしれない。

■またしても好きな国に嫌われる構図に

しかし、皮肉なことにアメリカ人は韓国をそれほど好いてはいないようなのだ。

世界的な調査会社『ユーガブ』がアメリカ人(7150人)を対象に「アメリカの親友と敵」という世論調査を行っているのだが、意外な結果が出ている。

同調査結果によれば、韓国を「同盟」(32%)、「友好国」(29%)と肯定的に評価したアメリカ人は60%を超えたが、「非友好国」という回答が10%に上り、さらに「敵国」と考えるアメリカ人が9%もいたというのである。

日本を「敵国」と考えるアメリカ人はわずか4%にすぎず、また中国を「敵国」と考えるアメリカ人(11%)とほぼ同数なだけに、韓国の数字の高さは気になるところである。好きな国にこそ嫌われるという構図は、ドイツのケースとそっくりなのだ。
(参考記事:韓国否定派が65%!! なぜドイツは世界一の“嫌韓国家”なのかhttp://s-korea.jp/archives/4255

■アメリカで起きている事件の背景に“嫌韓感情”が!?

アメリカ人の10人に1人が韓国を「敵国」と考えているわけだが、実際に近年、アメリカでは“嫌韓”を背景にしたようなトラブルが起こっている。

例えば今年2月、“ホワイト・パワー暴行事件http://s-korea.jp/archives/17591”となるものが韓国のネットで話題になった。

ロサンゼルスで暮らす韓国系アメリカ人の老婦人が突然、白人の女に襲われたというニュースで、事件を写真付きでフェイスブックに上げた女性によれば、暴行した女は「ホワイト・パワー!!」(白人の力を思い知れ)などと叫んで、韓国系老婦人を衝撃したらしい。

また、過去には正真正銘のK-POPアイドルが売春婦認定されるという珍事もあった。

アルバムのジャケット撮影のために米ロサンゼルス空港に到着したとあるガールズグループが、売春婦ではないかと疑われ、15時間以上も空港で抑留されているのだ。
(参考記事:米ロサンゼルス空港で“売春婦”と誤解された韓国ガールズグループの悲劇http://s-korea.jp/archives/4046

アメリカではここ数年、売春に関わる韓国人が逮捕・起訴される事件が相次いでいるとはいえ、彼女たちからしてみれば「迷惑」どころか「悲劇」としか言いようがない。

政治的にも複雑化している米韓

こうした一例を見ても、アメリカにおける嫌韓感情が高まっていると感じざるを得ないが、その一因には政治的な問題も関係しているのだろう。

慰安婦像や記念碑をアメリカ本土に次々と建設していることなども遠因に挙げられるが、つい先日には、史上初となる駐韓アメリカ大使館へのデモが行われている。
(参考記事:幹部が直接明かした本音!! 韓国系団体がアメリカに慰安婦像や碑を設置するワケhttp://s-korea.jp/archives/14685)

主催者発表によれば、3000人が「THAAD反対」を訴えて、ソウルの米大使館を「人の鎖」で包囲したという。韓国の裁判所が許可を出したうえでのデモで、米韓関係はますます複雑化しそうだ。

いずれにしても、韓国人はアメリカが好きだが、アメリカ人は韓国を好きではないということはデータ的にも間違いない。果たして、そのギャップが埋まる日は来るのだろうか。米韓首脳会議が、両国の関係改善のキッカケになればいいのだが…。

慎武宏
ライター/S-KOREA編集長
1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。

7/3(月) 6:30
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinmukoeng/20170703-00072709/