ロシア極東ウラジオストクと北朝鮮・羅津港を結ぶ貨客船「万景峰」の就航や、プーチン大統領ら政権幹部の相次ぐ北朝鮮寄りの発言など、ロシアは政治・経済両面での北朝鮮への親密姿勢を隠そうとはしない。

 「乗客も貨物も少ないが、状況は改善する。目的はビジネスだ。小麦と米が軍事物資のわけがない」

 5月に万景峰を就航させた露「インベスト・ストロイ・トレスト」社のバラノフ社長は産経新聞の電話インタビューにそう語り、船は商業目的だと強調した。

 同氏は「日本の北朝鮮嫌いは驚くほどだ」とも述べ、北への圧力を強める日本にいらだちをあらわにした。

 北朝鮮情勢に詳しい露極東連邦大のルキン准教授は、万景峰の就航は「北朝鮮の孤立に反対するロシアのシグナル」が込められていると指摘する。

 ロシアは北朝鮮への大量の燃料輸出の実態も報じられているが、同氏は制裁に抵触しない内容であれば「十分にあり得る話だ」と語った。

 政治面でもロシアは北朝鮮擁護の姿勢を鮮明にしている。プーチン氏は6月2日、「力の支配を押しつける限り、北朝鮮のような問題が起きる」と述べ、朝鮮半島の緊張は軍事的圧力を強める米国に原因があるとの考えを示した。(モスクワ 黒川信雄)

http://www.sankei.com/world/news/170706/wor1707060047-n1.html

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ロシア極東ウラジオストク港に到着した北朝鮮の貨客船「万景峰」(共同)