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韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は大統領選出馬の際の公約に「脱原発」政策を掲げ、就任から1カ月がたった6月には日本での福島第1原発事故にも言及し正式に脱原発を宣言した。韓国ではこれを受け政界のみならず広く国民の間でも賛否両論が巻き起こっているが、こうした中、文大統領に脱原発を決心させたのが一編のフィクション映画だったとの指摘が大物国会議員から飛び出した。

韓国・アジア経済などによると、7月12日、野党・正しい政党の金武星(キム・ムソン)議員が国会で開かれた「原発のうそと真実」をテーマとしたセミナーに出席、文大統領の脱原発政策に関連し「国政の最高指導者が映画1本を見ただけでその内容を受け入れ、国政に反映させるなどあってはならない」と批判した。金議員は「文大統領が映画『パンドラ』を見て感動し、涙を流して脱原発を決心した」と聞いているという。

前朴槿恵(パク・クネ)政権下では与党セヌリ党代表を務めるなど政界の要職を歴任してきた金議員は、「自らの過ちでぐらついてしまった国政が正される」ことを願い、大統領選前後から政治的発言を控えてきたというが、「法的根拠も手続き上の正当性もなく、一方的に脱原発に進むのを黙って見過ごすことはできなかった」と、今回の発言の意味を強調した。

金議員が言及した映画「パンドラ」は、韓国歴代最大規模(マグニチュード6.1)の地震と原発事故に見舞われる中、最悪の事態を免れるため人々が繰り広げる死闘を描いた作品。韓国で昨年12月に公開され、キム・ナムギルやチョン・ジニョン、ムン・ジョンヒ、キム・ヨンエら出演陣の豪華さも手伝ってかヒット作となった。

しかしここへ来て、同作で描かれた原発事故の信ぴょう性に改めて注目が集まっている。朝鮮日報は13日、「パンドラ」は原発の恐怖を無用にあおった作品だとして、実際に同作を鑑賞した専門家らの驚きを詳説する記事を報じた。

ここで「実際にはあり得ない」と具体的に挙げられたシーンは4つ。マグニチュード7クラスに耐えられる設計の原子炉冷却材バルブに津波被害もなく亀裂が発生したこと、福島第1原発よりもはるかに厳重はずの5重壁構造の原子炉建屋で水素爆発が起こった点などだ。

朝鮮日報によると、最近韓国を訪れた米国の環境運動団体代表は「パンドラ」を見て「本当に驚いた」とし、同作を「原子力に対する誤った理解に基づく映画」と指摘したという。また、韓国の専門家らは同作について「福島の原発事故をそのまま韓国に適用し、原発に対する反感をあおった」と指摘、映画の中の設定はあくまで福島での事故を参考としたものであり、「韓国の原発で映画のような事態が起こる可能性はゼロ」との見解を示しているという。