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▲長編小説「予言」380ページ.1万4千800ウォン.
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▲小説家キム・ジンミョン氏

「復讐を忘れるな、という話をしたかった。我が国は日本に770回も侵略されました。韓国は復讐からとても遠い社会になっています。このように戦いを避け、復讐を避けてばかりいたら、絶対私たちを守ることはできません。下手をすると再び冷戦が始まりますが、卑怯なことだけしていては、絶対、私たちの未来を守ることができません。」

小説家キム・ジンミョン(59)が悲壮に語った。新作長編小説「予言」は1983年、自国領空を侵犯したという理由で大韓航空(KAL)007機を撃墜したソ連に復讐する二人の男の話だ。ひとりはこぶしで、ひとりは理念で復讐を夢見る。

「すべての人がそれぞれのやり方で復讐できます。結局、精神の問題でしょう。復讐を忘却した民族になってはいけません。」

小説は米国空軍傘下、秘密観測基地レーダー網にソ連領空を行き来する正体不明の飛行体が捉えられたところから始まる。自国偵察機ではなく大韓民国の民間飛行機であることが即座に確認された。しかし、米空軍は「1級危険区域」に向かって飛んで行く友好国の民間機になんの警告信号も送らなかった。

ソ連極東軍防空司令部もやはり平凡な米軍偵察機ではないことは知っていた。しかし、民間機に偽装した偵察活動という疑いも消さなかった。撃墜命令を受けたソ連空軍飛行士、ゲンナジー・ オシポビッチは並んで飛行した「敵機」が急上昇して速度を下げるとすぐにミサイル二発を発射する。

作家は本来の航路を外れてソ連領空に深々と入った大韓航空機のミステリーとともに、事件を政略的に利用する韓半島周辺列強を非難する。日本の中曽根総理は大韓航空旅客機が撃墜された事実の報告を受けても自国がソ連を盗聴している事実がばれることを恐れて口を閉ざす。再選が不透明だった米国のレーガン大統領にとっては全世界的反共世論に再び火をつける好材料であった。

韓国のテレビはソ連の代わりに「第3国」の戦闘機が大韓航空機を撃墜したと報道した。それさえも当時の全斗煥(チョン・ドファン)大統領がほうきを持って町内を清掃したというニュースの次であった。

「強大国は大韓航空機撃墜事件を各自の食欲に応じて歪曲しました。ソ連、日本、米国さらに我が国もです。ニュースが出るとすぐに強大国の陰謀と下心で変えられます。」

事件で妹を失ったジミンはオシポビッチに対する復讐を存在理由にする。米国でロシア語を学びオーストリアで天体物理学を勉強したあげくロシア入国に成功する。しかし、ただ任務に忠実だった一介の軍人を殺すと何か変わるだろうか。

作家は二番目の男、「文」を登場させて復讐を個人ではなく国家と理念の問題に還元する。文はゴルバチョフ、ロシア共産党書記長を訪ねて大韓航空機撃墜事件に対する謝罪を受け取り、共産主義の終焉を宣言するつもりはないかと訊ねる。平壌(ピョンヤン)に行っては金日成(キム・イルソン)首席に主体思想を捨てなければなければならないと声を高める。文は生前、ゴルバチョフとキム・イルソンと会談した統一教教祖、文鮮明(ムン・ソンミョン)がモデルだ。

作家は大韓航空機撃墜事件が結果的にソ連や現実の共産主義の崩壊をもたらしたと見る。ソ連が7年以内に滅亡すると言っていた文の作中の予言は現実になった。「ジミンは荒々しく生きてきた自分のやり方で、文は共産主義をなくすことによって復讐しようとしました。やり方は違いましたがどちらも大韓航空機撃墜事件を忘れず復讐を試みました。真の復讐はお互いに対する理解から来る平和でしょうが、それを得るまでじっとしていてはいけません。」
(後略)

キム・ケヨン記者

ソース:聯合ニュース(韓国語) キム・ジンミョン「復讐を忘れた民族に未来はない」
http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2017/07/14/0200000000AKR20170714151000005.HTML