来年開催される平昌冬季五輪で「そり3種目」(リュージュ・ボブスレー・スケルトン)が行われる江原道平昌郡の「オリンピック・スライディング・センター」(旧アルペンシア・スライディング・センター)は世界で19番目に建てられたそり専用競技場だ。

 現在の工程率は94%。興味深いのは、この競技場がさまざまな記録を持っていることだ。まず、五輪開幕の年を記念して全長を2018メートルにした。また、スタート地点とゴール地点の標高差が約120メートルと世界最大で、アジア初の室内練習場も設けられている。

 だが、オリンピック・スライディング・センターが完成するまでには紆余(うよ)曲折があった。スライディング・センターの建設には高度な技術力が必要だ。ボブスレーの最高速度は時速150キロメートル、スケルトンは140キロメートル、リュージュは135キロメートルで、選手の安全を考慮して何度もチェックを繰り返し、手直しを重ねなければならない。

 工事期間も最低2年6カ月以上がかかる。問題は、韓国企業に工事経験が皆無だということだった。訪韓した国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は失敗を見越して長野との分散開催に言及するほどだった。

 しかし、韓国はちょうど1年という最短期間でこれを完成させた。その秘訣(ひけつ)はどこにあったのだろうか。

■IOC委員長が失敗予見も最短期間で完成

 スライディング・センターは約2キロメートルという超大型の氷の滑り台を作るようなものだ。曲がりくねったトラックを作るため、トラックの骨組みである「ジグ」(jig・パイプをかけられるようにする台)を作り、鉄筋と冷凍配管を設置する。その後、コンクリートを打設して(流し込んで)形を作らなければならない。ジグ製作がカギなのだ。

 今回のオリンピック・スライディング・センター建設には、これまでのスライディング・センター建設時に使われていない技術が総動員された。スライディング・センターがある国はすべて、現場で手作業によりジグを製作・設置した。それだけ時間とコストがかかり、誤差も大きかった。

だが、今回オリンピック・スライディング・センター施工を担当した大林産業は違った。国内外の豊富な橋りょう工事の経験をもとに培ったレーザー加工技術を活用、現場ではなく工場でジグを製作した。そうして何百ものジグをわずか1カ月で作り上げた。

 上下左右の角度がまちまちである42の曲線走路のコンクリート打設も難関だった。大林産業は特許を取った「ショットクリート」(shotcrete=吹き付けコンクリート)技術を使って「強度」と「曲線」の両方を追求・実現した。

 ショットクリートは霧吹きで霧を吹くようにコンクリートを噴射して貼り付ける技術だ。大林産業は従来のショットクリートに比べて強度が50%以上という高強度材料を使用し、固まるスピードを調節しながら思った通りの角度で曲線のトラックを作り出した。

■テストイベントでは選手の満足度が「最高」

 オリンピック・スライディング・センターは平昌五輪開幕に先立つ今年2月にルージュ・ワールドカップ(W杯)、3月にボブスレー・スケルトンW杯などのテストイベントを相次いで開催し、トラックの状態を点検した。選手たちはこのコースに合格点を出した。

 平昌五輪組織委員会によると、選手たちの間では氷質に対する評価が最も高かったという。組織委が韓国のアイスメーカー(製氷技術者)を教育・養成したことや、長年経験を積んできた海外のアイスマスターを招いたことが奏功した。

 英国のスケルトン選手ラウラ・デアスは、英公共放送BBCに「平昌は非常に清潔でよく整理整頓されている。開催地が大会を成功させようと最善を尽くしていることが分かる」と評価した。

 このスライディング・センターは先日、IOCからの国際規格を備えた韓国唯一のそり競技場としての価値を認められ、これまでの「アルペンシア・スライディング・センター」から「オリンピック・スライディング・センター」に名称変更の承認を受けた。

イ・ユンジョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版


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記事入力 : 2017/07/16 06:02