保守系野党「自由韓国党」がたばこ税を引き下げて1箱の価格を2000ウォン(約200円)に値下げし、同時に油類税の引き下げを求めることも決めた。理由は先日の大統領選挙で同党から出馬した洪準杓(ホン・ジュンピョ)代表の公約だったからだという。国民の健康増進を理由にたばこを現在の1箱4500ウォン(約450円)にまで引き上げたのは朴槿恵(パク・クンヘ)政権だった。当時、自由韓国党の前身だったセヌリ党の報道官は「健康に長生きすることが重要となった今の時代、たばこ代の値上げは避けられない。(環境を重視する)時代の流れに従うものでもある」とコメントしていた。ところが同じ政党が野党になると、3年前に自分たちが上げたたばこ代を再び下げるというのだから、あまりにも無責任ではないだろうか。健康に長生きすることはもう重要ではなくなったのか。

 韓国のたばこ代は先進国に比べるとまだ安い方だ。喫煙によってもたらされる害悪は今や説明するまでもないだろう。そのため責任ある政党であれば、たばこ代の値下げを今回のように軽々しく口にすることなどできないはずだ。ところが自由韓国党は単に喫煙者の支持を得るためだけにたばこ代の値下げを目指しているようには見えない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領と政府与党が0.1%の富裕層や大企業に対する増税を掲げ、庶民の人気を得ようとしているため、自由韓国党はこれに対抗し、たばこ税と油類税を引き下げることで庶民に減税の恩恵を与え、支持を集めたいと考えているのだろう。ポピュリズムにはポピュリズムで対抗するということだ。政府はポピュリズム政策に必要な税金も、国民の大多数以外のところから取り立てるポピュリズム的な方法を使おうとしているが、これに対して野党は「それならこちらは庶民が支払う税金を引き下げてやる」と応じたようなものだ。

 与野党の双方がポピュリズム的な経済政策を掲げるのは昔からあったことだが、今やそれも行き過ぎた感がある。現政権発足後、与党のポピュリズム政策に必要な資金集めを野党がポピュリズム政策によって妨害する状況となった。このポピュリズム競争は最終的には間違いなく国を破滅に導いてしまうだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版


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記事入力 : 2017/07/27 09:57