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 一番、身近な例としては、6月2日に7度目の安保理決議「2356号」が採択される際、「今後もミサイル発射を多発的に連続的にやる」(外務省代弁人声明)と予告し、およそ1か月後の7月4日、トランプ政権が内々にレッドラインに定めていたICBMを発射している。

 北朝鮮は8日に戦略軍報道官声明で「火星12」によるグアム周辺への包囲射撃計画を発表したが、北朝鮮はすでに先月(7月)14日に「国連安保理が再び制裁決議をすれば、後続措置を取る」との談話を出していた。

 また、同月31日にも外務省スポークスマンが「米国が軍事的冒険と超強度の制裁策動にしがみつくならば我々はすでに明らかにしたように断固とした正義の行動で応える」と言明していた。

 国連安保理は8月6日に国連決議を無視して二度にわたって強行した北朝鮮のICBM発射への懲罰として全会一致で新たな制裁決議「2371号」採択しているが、北朝鮮はすでに「全面排撃する」との政府声明(8月8日)を出している。

 声明では「断固たる正義の行動へと移る」と「次の手」を示唆したが、北朝鮮が示唆した「後続措置」や「正義の行動」がまさに「火星12」によるグアム周辺への包囲射撃計画ということになる。

 金正恩委員長がロケット戦略軍に対して「米帝(米国)の侵略装備を制圧、牽制するための強力かつ効果的な行動案を検討せよ」と指示していたなら、やはり、発射準備が整えば、ICBM同様に任意の時刻に発射命令が下される可能性は大である。

 米国が21日からの米韓合同軍事演習を中止すれば、あるいは戦略爆撃機B−1Bの朝鮮半島上空でのデモンストレーショを止めれば、北朝鮮は計画を中止するとしているが、トランプ政権が北朝鮮の脅しに屈して取り止める可能性は極めて低いだけに結局は見切り発射となるだろう。

辺真一
ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て、フリー。1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。1986年 テレビ、ラジオで評論活動開始。98年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー 。
2003年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(〜15年3月)を歴任。外国人特派員協会会員、日本ペンクラブ会員。著書に「在日の涙 間違いだらけの日韓関係」(飛鳥新社)「世界が一目置く日本人、残念な日本人」(三笠書房)「大統領を殺す国 韓国」(角川)
「金正恩の北朝鮮と日本」(小学館)「北朝鮮100の新常識」(マサダ)「韓国人と上手につきあう法」(ジャパンミックス)など20数冊

(おわり)