公開前から「反日映画」として話題になっていた韓国映画『軍艦島』が封切りになった。公開初日の7月26日には、過去最高のオープニングスコアである97万人を記録し、その後も2週間ほどで観客動員数は600万人を超えている(KOFIC調べ)。

菅義偉内閣官房長官が記者会見で「この作品は事実を記録したものではなく、創作映画だと認識している」と見解を述べるなど、何かと注目の集まるこの映画は、日韓関係にどのような影響を及ぼすのだろうか? 最新刊『頼るな、備えよ――論戦2017』が発売された櫻井よしこ氏が語った。

反日映画を見て「初めて事実を知った…」とネットでつぶやく韓国の若者たち

2017年6月15日、映画監督、柳昇完(リュ スンワン)氏がソウルで記者会見を開いて映画「軍艦島」の完成を報告した。7月26日封切りとなった同作品の内容は、かねてから日本側が懸念していたように、強い反日要素満載だ。

じつは、韓国国内でのこうした熾烈な反日歴史戦は、前・朴槿恵政権のときから続いている。彼らは2015年12月の日韓合意を反故にするために、ひどい映画を製作したのだ。インターネット配信の「言論テレビ」の番組で、拓殖大学教授の呉善花(オ ソンファ)氏が説明した。

「『鬼郷』という映画です。慰安婦問題がテーマです。13歳の女児を日本軍が無理やり連れ去る。連行先には同じように12歳、13歳の女児が多数閉じ込められていて、皆、毎日多くの日本兵の相手をさせられる。そうした場面を生々しく描写しているのです。
結局、少女たちは故郷には戻れず、鬼あるいは霊になってさまよっている。『鬼郷』という題名には、鬼の形ででもいいから戻ってきてほしいという願望が込められています」

呉氏が説明した映画の筋書きでは、少女たちはひどい環境の下で次々と病気になり、命を落とす。日本軍は少女たちの遺体を穴を掘って放り投げ、石油をかけて焼き、埋めてしまうというのだ。

ばかばかしいまでに史実と懸け離れたこのような映画が、韓国ではなんと大ヒットしたのだという。呉氏がさらに語った。

「ソウル市長の朴元淳(パク ウォンスン)氏は、この映画こそ、小学生からお年寄りまで必見だと言って、老人ホームなどからバスを仕立ててお年寄りを映画館に連れていっているのです。映画館が足りないと言って、公共のホールまで使用しています」

日韓併合時の歴史、日本による統治の実態について少しでもまともに学んでいれば、「鬼郷」に描かれたような事実はあり得ないとわかるはずだ。しかし、韓国ではまともな歴史教育はまったくなされず、歪曲した歴史が教えられてきた。その結果はネットに正直に表れている。

「初めて事実を知った」「こんな酷い仕打ちを日本がしていたことを、初めて知った」「心の底からの怒りに震えた」などと、涙ながらに発信する人々が後を絶たないという。

呉氏が続けた。

「映画を製作した反日団体は、日本は強制連行の証拠はないと言い張るが、われわれがその証拠を見せてやると言って製作したのです。このような言説を信じる韓国民はとても多い。年配の世代の人たちは慰安婦が強制連行でなかったことを知っています。
けれど、そういう真実を公に語ると大変なことになります。殴られたり、水をかけられたり、土下座させられたり、あまりの酷さに良識ある人々は口を噤んでしまうのです」

両国にとってこれ以上の不幸はないが、これが韓国の反日教育の結果なのである。

国際的な日本糾弾のために「映画大ヒット」を目指す反日勢力

話を映画「軍艦島」に戻そう。

韓国紙「中央日報」は、同映画は「軍艦島に強制徴用された朝鮮人たちが命がけで脱出を図ろうとする過程を描い」たと伝えた。柳氏は強制徴用された多くの朝鮮人の苦しみを「映画的想像力を加味し」「現在の韓国映画で作りえる極限ラインに挑戦し」たと語る。

韓国外務省は、韓国の総人口5000万人のうち少なくとも1000万人に加えて、広く国際社会の人々が同作品を見るだろうと予測する。配給会社側は2000万人以上の観客動員を目指すとし、韓国では、日本糾弾のためにもこの映画を「絶対にヒットさせなければならない」という声が上がっている。

http://diamond.jp/articles/-/138030

>>2以降に続く)