世界的潮流となっているクラフトビール。工場で大量生産される商業ビールと対極にある小規模醸造、いわゆる手作りビールが中国でもブームだ。

軽めのビールが人気の中国

ビールの消費量世界一と言われる中国市場。昼夜の外食時、カラオケ、結婚式でもビールが主流。アルコール度が低く口当たりの軽いビールが多く、街の食堂では国産ビールと炭酸飲料が同じ値段、と言う事情もビールの消費量を後押ししている。

世界が認める上海発クラフトビール

中国国内産ビールは日本でもお馴染みの青島(チンタオ)ビールのほか、ハルピンビール、北京ビールと各地ビールの種類も豊富。こうした量産ビールの市場に新しい風を吹き込んだのが、クラフトビール店ボクシング・キャット・ブリュワリー。

各国料理が楽しめる飲食店やナイトライフの充実した上海で、美味しいアメリカ料理とクラフトビールを楽しみたいと願ったアメリカ人と、仲間の中国人が上海で2008年に起業したもの。シンプルに祖国の味を求めて始まったのが、この上海クラフトビールというわけだ。

在住外国人や旅行客だけでなく、地元の若者も集まるブリュワリーは今や市内に3店舗を展開。上海にある姉妹レストランや提携バーでもこの醸造所のビールが提供され、今年の春には世界的大手ビール会社が買収したほど。上海発のクラフトビールは有名ブランドへと確実に進化している。

なお伝統的に甘口料理を好む上海や江南地方の人々。梅酒や杏子酒が名産で、クリーム系リキュールがブームとなるなど、根っからの甘党。クラフトビール店では、フルーティーで甘いビールが一番人気だそうだ。

アジア究極のビール祭、青島ビールフェスティバルは必見!

上海の北方、ビールで有名な青島で毎年夏に開催されるのが「チンタオ・ビール祭」。本場ドイツのオクトーバー・フェストのアジア版と名高く、今年の開催は8月4日から27日まで。

期間中は世界のビールや軽食の屋台が出店、ビール飲みコンテストやダンス大会、ショーやコンサートも開催され連日大盛況。また青島は新鮮な海鮮料理が楽しめ、異国情緒あふれる街として国内観光客にも人気の街でもある。

青島でおススメなのは、名物「ビニール袋ビール」。工場直送出来立てのビールを「瓶詰にする前に飲める」として地元民の間では常識の飲み方。

夕方になると、袋入りビールとつまみや夕食の食材を手に家路に着く人たちが行き交い、夏休みには子供がお父さんのお使いでビールの袋を買いに走る。ビールの街ならではの光景もまた青島での楽しみだ。

なお地元のレストランでビールを頼む際に「冷たいビール」と指定しなければ、常温のビールが出てくることも多いのが中国。冬には親切心で「身体に悪いから」と常温のビールを勧められるので、注文の際には好みをしっかり伝えよう。

(文:伊勢本ゆかり from上海)

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