来年2月の開幕まで半年を切ったというのに、韓国内で平昌五輪に対する国民の関心は35.1%しかなく、スポーツ行政を統括する文化体育観光部(省に相当)が3回実施した世論調査の中で最低を記録したという。

 朝鮮日報は「寒々とした雰囲気の中で『関心を持ってほしい』と呼び掛けているようなありさまだ」と報じ、五輪成功への危機感を強めている。

 ところが、五輪組織委員会など公的機関が国内外の観覧客を呼び込もうにも、インターネットの予約サイトの不整備や、宿泊代金が通常の4〜6倍に膨れ上がる“ぼったくり”のような状況で予約の断念が続出し、五輪離れに拍車を掛けている。

 聯合ニュースなどによると、文化体育観光部が7月31日に発表した平昌五輪に対する世論調査(15〜79歳、1000人を対象)では、平昌五輪に対して関心があること答えた国民は35.1%で、過去2回の35.6%、40.3%に比べて最も少なく、前回より後退した。

 もっと深刻なのは、現地で直接五輪を観戦しようという国民は7.9%しかなく、9.2%、8.9%と調査ごとに減少している。

 組織委によると、第1次販売期間(2〜6月)に売れた五輪チケットは総販売目標枚数(107万枚)の21%(22万9000枚)にとどまった。このうち、国内販売分は目標枚数(75万枚)の6.9%(5万2000枚)だった。

 組織委関係者は「予想よりもチケットが売れず、懸念しているのは事実」と語ったと朝鮮日報は報じた。

 それにもかかわらず、五輪が成功すると予想する国民は今回63.8%と半数以上にのぼった。過去2回の55.1%、62.9%よりも高い。その背景には、文在寅政権が提唱している南北合同チームの結成や合同入場行進といった北朝鮮の平昌五輪参加がある。

 今回の質問項目に北朝鮮の参加が五輪にどのような影響を与えるかという質問に対し、肯定的という回答が49.8%で半数近くを占め、否定的は19.8%にとどまったという。

 肯定的な理由として「南北交流や疎通が必要であり、関係改善の契機になる」(106人)が最も多く、次いで「五輪精神にも合致する」(70人)を挙げている。

 しかし、北朝鮮からは現在の状況では「ばかげた話」と一蹴されている。7月29日には大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、軍事的な緊張が高まる。

 さらに、韓国が8月1日に開催を呼び掛けた南北赤十字接触に応じなかった。この状況にもかかわらず、韓国政府は期限を設けずに引き続き対話を呼び掛ける考えだ。

 ピント外れな五輪政策は、文化体育観光部も同じのようだ。同部関係者は、開幕が押し迫った時期にもかかわらず、関係省庁と一体となったイベントやメディアと連携したキャンペーンなどを通じて「五輪の雰囲気が本格的に造成され、国民の関心や関与が大幅に高くなることを期待する」と述べている。

 こんなことは招致当初から取り組むことであり、いまさら強調することではない。

 肝心の組織委にももはや策がないかのように、立て続けに五輪の広報大使を委嘱している。日本女子ツアーで活躍するイ・ボミを任命し、「今後、日本で平昌五輪に対する関心を高めていけるよう努めたい」(中央日報)と語らせている。

 韓国で人気の高いガールズグループ「Girl’S Day」やサッカーの元韓国代表、朴智星(パク・チソン)らを発表。成功に大きく寄与するものと期待している。

 一方、朝鮮日報によると、米国人の27歳の女性がアイスホッケーの観戦に訪れようと平昌五輪の公式ホームページで宿泊施設を1時間以上にわたって検索したが、諦めたという。

 近くの宿泊施設の情報は英語で書かれていたが、競技場からの所要時間や宿泊代金がいくらなのか基本情報がなかったからだという。直接宿泊施設に電話しても英語が通じなかったと不満をぶちまけている。

 さらに、東亜日報は韓国人観光客の現地の宿泊施設探しが困難を極めていると報じた。ペンションは1〜2泊単位の韓国人観光客は受け付けず、宿泊できても1泊50万〜60万ウォン(約5万〜6万円)かかるという。

http://www.sankei.com/premium/news/170817/prm1708170004-n1.html

>>2以降に続く)