8月初めから中旬までイラクにいた。だからテレビはイラク国営テレビばっかり見ていた。正直に言うと、こんなテレビにはなりたくないと思った。そのあまりにあからさまな国策戦時報道ぶりに接しながら、僕は思わず想像した。こりゃあ人ごとじゃあないな、と。

窓の外の50度を超える炎天が影響したのかもしれないが、ここからはるか離れた日本のテレビで今展開されているかもしれない北朝鮮のミサイル発射を巡る報道がエスカレートした先のことを重ね合わせながら、イラク国営テレビを見ていたのだ。

リズミカルで勇壮で、かつ感情を湧き立てる音楽にあわせて、対過激派組織「イスラム国」(IS)の戦いをたたえ、戦意高揚の大義を伝える。戦争の被害者、特に女性や子供たちにやさしく駆け寄る兵士たち。それを命がけで報道する最前線の記者たち。

捕らえられたISの兵士たちのみじめな姿。そのような映像が流れていた。プロパガンダと片づけるのは簡単だ。けれど、しかし……。

もしかして、日本でこんなテレビ放送が流れることはないか。北朝鮮の非道な弾道ミサイルから、我々日本人…

https://mainichi.jp/articles/20170818/dde/018/070/030000c