北朝鮮・両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市と、革命の聖地と呼ばれる三池淵(サムジヨン)郡を結ぶ全長80キロあまりの白頭山観光鉄道(三池淵線)。

日本の植民地時代に建設された森林鉄道を改造してできたもので、革命史蹟の訪問に利用されてきたが、1994年に大洪水で路盤が流出してしまった。

復旧工事は、13年後の2007年8月から始まったが、わずか4ヶ月で中断した。

金正恩党委員長は、2015年4月から復旧工事を再開させ、2016年5月の朝鮮労働党の第7回大会までの完成を命じていたが、未だに開通に至っていないと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

現地の情報筋によると、4月13日行なう予定だった開通式は、6月4日の普天堡(ポチョンボ)戦闘勝利80周年の日に延期された。ところが、8月28日に再び延期されたというのだ。

理由は、レールを購入するカネがなかったからという。使用されるのは黄海製鉄所で生産され、3メートルのものを特殊溶接でつなげて長くしたものだ。情報筋は言及していないが、相当値の張るものであろう。

工事は今までも、国際社会の制裁による資金と資材の不足でたびたび中断している。

一方、別の情報筋によると、工事の遅れの原因は、金正恩氏が、対外向けのプロパガンダに利用するためだという。完成したところも一度ではなく、少しずつ公開している。

しかし、現場の作業員にはそのような説明がなされているわけもなく、疑問が噴出していた。指揮部は「金正恩氏が乗車する日時に合わせているため」と苦しい弁明をしている。

実際に乗るとしても、国境から離れていて中国から動きを察知されないモッカ駅から鯉明水(リミョンス)駅までの短い区間に過ぎないだろう。

そもそも、手抜き工事や極寒期の無理な工事で労災死亡事故が多発し、安全上の問題を抱えているとされるいわくつきの鉄道でもある。このような鉄道を金正恩氏は利用しないのではないだろうか。

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