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続き

「九月一日夜から数日間の帝都およびその付近においては、未曾有の大震災とそれに伴って伝わったでたらめな
流言飛語のために、すっかり度を失った民衆によって、まことに恥ずべきところの不祥なる出来事、
戦慄すべき残虐事が至るところに現出された。
すなわち鮮人暴動の流言に血迷った自警団の鮮人および鮮人と誤った内地人に対する虐殺事件である」

                                 田中貢太郎・高山辰三編『叙情日本大震災史』(震災4ヶ月後に発行)

騒擾の原因は不逞日本人にあるは勿論にして彼等は自ら悪事を為し之を朝鮮人に転嫁し事毎に朝鮮人だと謂ふ。
適々市の郊外に朝鮮人多かりしを以て朝鮮人暴動の噂を生み迅速に東京其他の各地に伝播せるものにして、
朝鮮人襲来と称し人心に大恐慌を来せる発起点は横浜なるものの如し。
横浜に於ても朝鮮人が強盗強姦を為し井戸に毒を投込み、放火其他各種の悪事を為せしを耳にせるを以て、
其筋の命もあり、旁々之を徹底的に調査せしに悉く事実無根に帰着せり。
 
                                    神奈川警備隊司令官 奥平俊蔵中将(震災当時)