SKイノベーションが世界で初めて1回充電時450キロメートルを走ることができる電気自動車バッテリーの量産に入る。今まで開発されたバッテリーより走行距離が100キロメートル程度増えた。バッテリーに入るニッケルの比重を最高80%まで高めることに成功したためだ。

ソウル〜釜山(プサン)間(428キロ)を一回の充電で行ける革新的技術の登場で電気車大衆化がさら早まるだろうという見通しが出ている。

SKイノベーションバッテリー研究所のイ・ジョンハ・セル開発室長は30日、韓国経済新聞とのインタビューで「世界で初めて中大型NCM811(ニッケル・コバルト・マンガンの割合が8:1:1)バッテリーの量産を始め、12月からエネルギー保存装置(ESS)に、来年7−9月期からは電気車バッテリーに適用する計画」と話した。

電気車バッテリー市場の話題は走行距離の拡大と原価競争力の確保だ。そのためには、陽極材でニッケルの含有量を引き上げ、コバルトの含有量を引き下げる必要がある。ニッケルの含有量が多いほどエネルギー密度が高まるためだ。

希少金属の世界的な生産量減少の影響により、価格が急騰しているコバルトの含有量を引き下げることができるということから生産費削減にも役立つ。

ブルームバーグによると、ロンドン金属取引所(LME)で取り引きされるコバルト現物価格は昨年8月、1トン当たり2万5750ドル(約285万円)から25日には6万500ドルに1年間で135%上昇した。

一方、完成車業界は電気車普及を拡大するためにバッテリー納品価格の引き下げを要求している。バッテリー価格は電気車原価の40%に達するほど比重が高い。

LG化学とサムスンSDI、SKイノベーションなど韓国電気車バッテリー会社が研究開発(R&D)を強化してコバルトの比重を下げることで出力を高めたバッテリー開発に積極的に乗り出している理由だ。

◆分離膜技術が秘訣

1回充電すれば数百キロを走ることができる高容量二次電池は陽極材でコバルトの比重は下げ、ニッケルの含有量は引き上げる方向に進化してきた。

各成分の比重が1(ニッケル):1(コバルト):1(マンガン)であるNCM111バッテリーを量産したバッテリー業界は、2014年からニッケルとコバルト、マンガン比率がそれぞれ60%、20%、20%であるNCM622バッテリーを生産し始めた。

だが、技術的な限界のせいでそれ以上にニッケルの比重を高めることが容易でなかった。ニッケルの含有量を引き上げるほど安定性が低下し、爆発危険が大きくなるためだ。

LG化学とサムスンSDIなどはその間、耐久性が強い小型円筒形だけで陽極材のニッケルとコバルト、マンガン比率がそれぞれ80%、10%、10%であるNCM811バッテリーを生産してきた。このような小型バッテリーはノートブック、電気自転車などに使われる。

SKイノベーションが今回、LG化学とサムスンSDIなどの先頭走者を抜いて中大型NCM811バッテリーの量産に成功した秘訣は、世界最高水準のバッテリー分離膜技術のおかげだ。

この会社の安定性を強化したセラミックコーティング分離膜技術は旭化成に続き世界2位だ。NCM811の弱点は▼ガス発生▼熱発生▼短いバッテリーの寿命だった。SKイノベーションバッテリー研究所は分離膜の両面にセラミックコーティングをし、熱抵抗が高いバインダーを使って150〜200度の高温で耐えられるように製作した。

ガス発生およびバッテリー寿命の問題を解決するために、陽極材をアルミニウムなど異種複合成分で特殊コーティングする方式を採択した。この方式を通じて充電・放電が繰り返されるほどバッテリーの体積が膨張する問題も解決し、バッテリーの寿命も増えた。

◆自動車業界も驚いた技術力

イ室長は「初めてNCM811バッテリーを開発するといった時、完成車業界が成功の可能性に疑問を呈したのは事実」とし「サンプルを提出して安定性テストを通過しながら技術力を認められ、もう『信頼できる』という評価を受けた」と説明した。

http://japanese.joins.com/article/893/232893.html

>>2以降に続く)