「日本の交通ルールに不慣れ」であることを示す

沖縄県や北海道などで、外国人が利用するレンタカーの後部に「外国の方が運転しています」と書かれたマグネットステッカーを貼ることが推進されています。

沖縄県レンタカー協会によると、「日本の交通ルールに不慣れな外国の方が運転していることを示す」目的があるといいます。同協会に話を聞きました。

――マグネットステッカーはいつ導入したのでしょうか?

2015年8月に、当協会が独自に導入しました。将来的なインバウンド(訪日旅行)需要の増加を見越してのことで、現在では沖縄のデザインにならったステッカーを、他県のレンタカー協会でも導入しているところがあります。

――実際に外国人の運転するレンタカーの事故件数は増えているのでしょうか?

貸出件数とともに事故も増加していますが、重大事故はそれほど増えてはいません。「こすった」「かすった」といった運転感覚の不慣れに起因する軽微な事故が多いようです。

沖縄でレンタカーを利用されるのは主に韓国、台湾、香港の方ですが、台湾と韓国は右側通行なので、日本の交通ルールなどに慣れづらい方が多いようです。

このことからも、外国の方が運転していることを後続車に伝え、車間距離をとるなどして注意を払ってもらうことが、事故防止に役立つと考えています。

東京でも独自デザインで導入

――アイディア源としては「赤ちゃんが乗ってます」などのステッカーなのでしょうか?

いえ、初心者マークや高齢者マークなど法令に則ったものを参考にしています。県警などと相談しながら寸法や規格、材質などを決めて作成しました。

――利用客の反応はどうでしょうか?

沖縄ではマグネットステッカーを貼ってもらうことに問題は起きていません。しかし北海道では、貼ったクルマのドライバーが富裕層だと思われて、車上荒らしのターゲットになりかねないという意見もあるそうです。

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北海道でも、道観光局と道内の各レンタカー協会が連携し、2016年3月に独自デザインのステッカーが導入されています。道観光局は「運転に不慣れな人が乗っているということがわかる意味でも、ステッカーの導入はレンタカー会社から『よかった』といわれます。

ただ、車上荒らしの対象になっては困るので、借りる人には『長時間駐車するときは外してほしい』と伝えています」といいます。「強制ではないので、貼りたくないという人もいる」そうです。

沖縄をはじめとする各地の動きを受け、東京都レンタカー協会(東京都千代田区)も2017年4月より「東京にまつわる図柄」(同協会)を描いたというデザインのマグネットステッカーを作成し、加盟事業者に配布しているといいます。

同協会は「レンタカー貸出件数の増加にともない導入しました。貼っていただくのは強制ではありませんが、今後ステッカーの存在を周知していきたい」としています。

国土交通省の資料によると、レンタカーを利用した訪日外国人は2015年に約70万5000人。5年間で約4倍に増えたそうです。

日本政府観光局が2015年に香港で約1000人へ実施したアンケートでは、免許取得者の7割以上が日本でドライブをしたいと答えている一方、経験者の約1割が、「交通ルールや標識がわかりにくい」と答えたといいます。

沖縄県レンタカー協会は、「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて訪日旅行者のレンタカー利用はさらに増えるので、今後も施策が必要」だと話します。

ちなみに、訪日外国人が日本でクルマを運転する場合、日本の免許証または「道路交通に関する条約」(ジュネーブ条約)に基づく国際免許証、あるいは、ジュネーブ条約に非加盟ながら特に認められている国や地域で発行された外国人運転免許証(ドイツ、台湾など)が必要です。

https://carview.yahoo.co.jp/news/market/20170831-10271593-carview/?mode=full

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