参加した専門家たちは「理論的にしか分かっていない古代の鋳造技術を証明した素晴らしい実験だ」と高く評価した。
土製鋳型は2014年9月に春日市の須玖タカウタ遺跡から出土し、日本最古級の弥生時代のものと推測される。一部は欠損していたが、祭祀に使われたとされる剣状の銅戈(どうか)の形が分かる状態だった。
春日市教育委員会の土製鋳型保存処理検討部会メンバーで、芦屋町の芦屋釜の技術を研究している遠藤さんは16年、土製鋳型の再現に挑戦。春日市内の土を使って同じ形の鋳型を造り、銅やスズを溶かした青銅を流し込んで銅戈を再現することに成功した。
学会で遠藤さんの再現実験映像を見た元中国社会科学院考古研究所副所長の白雲翔氏は「映像を見てびっくりした。昔の鋳造技術は、科学分析によって理論的には分かっても実際に鋳造品を再現しないと証明したことにはならない。中国で出土している鏡もぜひ再現してほしい」と話した。
同学会は07年に設立。考古学、鋳造技術、美術史、文化遺産保護、民俗学などの研究者のほか、伝統金属工芸家や鋳造家などの技術者が毎年集まって研究成果を発表している。今回は台湾で初めて開催し、日本、中国、韓国などから約100人が参加した。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/article/355281/
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遠藤喜代志さん