>>1の続き。

またこれとは別にもう1つ不幸なことは、大韓民国政府の能力が全く信頼できないという点だ。歴代の政権は幼稚な幻想によって北朝鮮に欺かれ、あるいは現実への無責任な安住のため北朝鮮に対する行動への決断から逃げ、国をここまで危険な状況に追い込んでしまった。それは現政権も全く同じだ。現政権は過去の宥和政策の幻想から未だに抜け出せず、しかも外交・安全保障政策の担当者本人たちが弱点になっている。

大統領府安保室には北朝鮮の核問題に対する専門家が1人もなく、軍事作戦について専門的な知識を持つ将校経験者もいない。外交部(省に相当、以下同じ)長官に至っては対北朝鮮はもちろん、米国、中国、日本などとの外交経験さえ全くない女性の元人権専門家で、また国防部長官は自らの戦術核に関する発言さえ「ハプニング」という言葉でごまかす程度の人物だ。

米国、中国、日本に派遣された韓国大使たちも大統領選挙の功労者でしかなく、彼らは現地の状況について最初から勉強しなければならない門外漢ばかりだ。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は北朝鮮が核実験を強行した昨日、緊急の国家安全保障会議(NSC)を招集し、その席で「北朝鮮はまさに考えられないほどの戦略的ミスを犯した」「核やミサイルの分野で北朝鮮がより高度な技術を確保することは決して容認できない」などと述べた。ところが北朝鮮は核開発戦略に大成功し、韓半島(朝鮮半島)における主導権を事実上握ってしまった。

その現実を目の当たりにしながら、北朝鮮に対し「考えられないほどの戦略的ミスを犯した」と言うからには、その効果的な対応策を韓国が確保していなければならない。しかし韓国には実際のところ何の打つ手もなく、それはもはやごく普通の国民でさえ理解できるようになった。北朝鮮による核・ミサイル開発が事実上完成した今、「決して容認できない」といった言葉はもう口にしない方が良い。

文大統領は「最高レベルの反撃体制を準備せよ」と指示した。韓国政府は北朝鮮が持つ核兵器の10万分の1の威力しかない在来兵器数発を使い「北朝鮮に対する武力を誇示した」などと堂々と口にするようなレベルだ。そう考えると今後また何か的外れな対策が発表されるかもはや予想もつかない。

今は文字通り非常事態だ。今日も日常の風景は続くだろうが、それを維持する条件が根本的に変わるほどの危機的状況だ。政府は1日も早く虚構から目を覚まし、最悪の状況に備える対策を立て行動を起こさねばならない。その第1歩は現実を直視することであり、対策の制限をなくすことだ。

>>おわり。