産経ニュース、2017.9.4 21:22更新
http://www.sankei.com/world/news/170904/wor1709040072-n1.html

 【ソウル=桜井紀雄】トランプ米大統領が、米韓自由貿易協定(FTA)の破棄を検討するとの発言が伝えられ、韓国に波紋が広がっている。巨額の貿易赤字を理由にFTAの改定を求めるトランプ政権に対し、韓国がかたくなに拒んでおり、交渉を有利に進めるためのトランプ流の“脅し”だとの見方もある。

 米主要紙や通商専門誌が「トランプ氏がFTA破棄に向けた準備を指示した」と報道。米南部、ヒューストンのハリケーン被災地を2日(現地時間)に視察した際、トランプ氏が記者団に「かなり念頭に置いている。来週から議論する」と認めたため、破棄の可能性が現実問題に浮上した。

 FTAの扱いをめぐっては、米韓高官が8月下旬にソウルで特別会合を開いたが、交渉入りを促す米側に対し、韓国側は現行協定の効果の検証を求めて、もの別れとなり、次回会合の日程さえ決まらなかった。トランプ氏がこれに怒って破棄の検討を指示したとも伝えられる。

 韓国では、破棄は現実的ではないとの見方の一方、経済的打撃に加え、北朝鮮の軍事的挑発が続く中、米韓の結束を揺るがしかねないと懸念する声がある。