スイスのジュネーブで開かれている軍縮会議で、国連安全保障理事会が採択した北朝鮮に対する新たな制裁決議について、各国が着実な履行を求めたのに対し、北朝鮮の大使は「違法で不法な決議だ」と非難したうえで、決議を主導したアメリカに対し「その代償は確実に支払わせる」と述べ、強くけん制しました。

12日に行われた軍縮会議では、国連安全保障理事会が採択した北朝鮮に対する新たな制裁決議について、北朝鮮のハン・デソン大使が発言し「わが国の主権を明らかに侵害する違法で不法な決議だ。断固として拒否する」と述べ、非難しました。
そのうえでハン大使は、決議を主導したアメリカに対し「新たな制裁でわが国を完全に締め上げようとしている。傍観するつもりはなく、その代償は確実に支払わせる。わが国には最後の手段をとる準備がある。アメリカは、かつて経験したことのない『最大の痛み』を被り、苦しむことになる」と述べ、さらなる対抗措置も示唆して、強くけん制しました。

一方、日本の高見澤軍縮大使が「国際社会の求めを聞き入れて、核・ミサイル開発を放棄するよう強く求める」と発言するなど、アメリカやロシア、中国など15か国以上が北朝鮮を強く非難するとともに、決議の着実な履行を求めました。

これに対し北朝鮮のハン大使は「わが国の核実験に疑問を呈す権利は誰にもない。制裁や圧力で核抑止力の強化を求めるわが国の意思は揺るがない」と反論し、核・ミサイル開発を今後も続けると強調しました。

仏外務省 決議を歓迎

国連安全保障理事会が北朝鮮に対する新たな制裁決議を全会一致で採択したことについてフランス外務省は、12日、報道官が声明を発表し、北朝鮮への制裁措置を強化するものだとして歓迎しました。

そのうえで「北朝鮮が国連安保理の決議に違反して核・ミサイル開発を続けることで地域や世界の安全保障が脅かされているなかで、国際社会による強力で、一致した対応こそ核不拡散体制を維持し、緊張を回避するために必要だ」と述べ、各国が新たな制裁決議を着実に履行していくことに期待を示しました。

ロシアは修正を評価

国連安全保障理事会が採択した北朝鮮に対する新たな制裁決議について、ロシア外務省は12日、声明を発表し「北朝鮮経済を窒息させ、壊滅的な人道危機を招くようなもともとの非常に厳しい案を、中国とともに修正することができた」と指摘して、評価しました。

そのうえで、新たな制裁決議は「北朝鮮に核・ミサイル開発の継続を断念させることを目的にしたものだ」として、あくまで対話を通じて、平和的に問題を解決すべきだと主張しています。

一方、制裁決議の内容から、ロシア極東から北朝鮮の港を経由した石炭の輸送の禁止や、北朝鮮労働者の国外退去が除かれたことについて、歓迎するとしています。

ロシア外務省のザハロワ報道官は12日、ロシアのメディアに対し「ロシアの基本的な要求のすべてが制裁の文書に反映された」と述べ、決議内容に理解を示しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170912/k10011136891000.html
9月13日 2時39分