17.09.14 by 李信恵

9月7日から、沖縄に行ってきた。2件の反ヘイトスピーチの裁判を始める前から、毎年この時期には沖縄へと通っている。私が沖縄に行くとインターネット上でデマが流れ、「裁判のカンパを使い込んでいる。そのお金でステーキを食べた」などと書かれたりもした。が、ステーキは自腹で食べている。まあ、そんなことはどうでもいい。

今回沖縄に行ったのは、沖縄在住の写真家である石川真生(まお)オンニ(韓国語で姉さん、私は親しみを込めて年上の女性をそう呼ぶ)が、那覇市民ギャラリーで「大琉球写真絵巻Part1〜4」と題した写真展を開催していたからだ。真生オンニは今年2月に3度目のがんを告知され、7月3日、12時間に及ぶ悪性腫瘍摘出等の大手術を行った。そして8月の初めに退院し、今回の写真展の開催となった。(中略)

そして、大阪に帰宅して数日後、「チビチリガマ」が荒らされたというニュースが飛び込んできた。「チビチリガマ」とは今から72年前の4月1日、米軍が沖縄本島に上陸した後、読谷村の住民らが逃げ込んだ自然壕のこと。4月2日、米軍の投降に応じずに83人が「集団自決」(強制集団死)に追い込まれた。半数が未成年だった。

ガマに残されていた遺物も割られ、慰霊の折り鶴が引きちぎられ、ガマの入り口にある「世代を結ぶ平和の像」の石垣が破壊されていたという。

この事件の約2週間前、東京都の小池知事は、関東大震災時に虐殺された朝鮮人犠牲者を慰霊する9月1日の式典への追悼文送付を見送ると明らかにした。これは、朝鮮人大虐殺の歴史の否定につながるものとして、多くの反発の声が上がった。

マイノリティの過去の悲劇をなかったことにしようとする、これら2つの事件はすごく似ている。戦争や差別の過去を見詰めることは、過ちを二度と繰り返さないこと、平和へ向かう第一歩だと思うが、今の日本社会、沖縄はまるでそこから逆行しているかのようだ。

真生オンニの写真展は、来年2月に埼玉に巡回予定だという。那覇の写真展では、来場者から「この写真を、本土の人にこそ見てほしい」っていう声を何度も聞いた。ほんとうにそうだ。そして沖縄出身者の多いこの大阪でも、写真展を開催できればと強く思う。真生オンニや沖縄のパワーがもらえる写真展、絶対開催するで!

http://www.lovepiececlub.com/news/2017/09/14/entry_006677.html