韓国政府が編成した1兆ウォン(約1000億円)規模の来年度南北協力基金に金剛山観光再開・白頭山観光開始・水産業協力・経済特区開発など対北朝鮮投資事業が含まれていることが20日、確認された。

キム・スン元統一部長官政策補佐官は「基金が実際に執行されれば、『5・24対北朝鮮制裁措置』(2010年に発生した北朝鮮による海軍哨戒艦『天安』撃沈事件を受けて韓国が取った制裁措置)だけでなく、国連安全保障理事会の決議にも違反することになる」と語った。

統一部(省に相当)は先月29日、来年度の南北協力基金1兆462億ウォン(約1040億円)のうち、2480億ウォン(約246億円)を「無償経済協力基盤事業」に割り当てした。これは、昨年の1389億ウォン(約138億円)に比べ78.5%、金額にして1091億ウォン(約108億円)多いが、統一部は細部の事業予算については「明らかにできない」と話している。

しかし、国会外交統一委員会所属の鄭亮碩(チョン・ヤンソク)議員=正しい政党=が統一部から入手した資料によると、政府は2480億ウォンのうち、金剛山・白頭山観光と漁業協力に62億ウォン(約6億2000万円)、海運協力、経済特区の開発などの経済協力基盤施設の拡充に563億ウォン(約5億6000万円)策定したことが分かった。北朝鮮の技術・経済人材育成や鉱業・農業・鉄道・道路協力などの事業にも1819億ウォン(約180億円)を割り当てた。

このような事業は「開城工業団地を除く南北貿易中止」「対北朝鮮新規投資不許可」を骨子とする「5・24措置」の下では推進できない。また、北朝鮮との観光・水産業協力は毎年数億ドル(数百億円)の現金が行き来するため、「多額の現金」(bulk cash)の対北朝鮮流入を禁止した安保理決議(第2321号など)に違反する可能性が高い。

しかも、北朝鮮の6回目の核実験後に採択された安保理決議第2375号は、北朝鮮との合弁事業そのものを禁止している。外交消息筋は「例外として分類されている公共インフラ事業も国連制裁委員会の承認が必要だ」と語った。安保理決議は国際法の効力を持つ。

統一部がこのように議論を呼ぶ可能性のある予算を、本予算ではなく基金に反映させたことに対しても指摘する声が出ている。鄭亮碩議員は「(無償経済協力に基づく事業予算は)審議が簡単な基金の形で執行するようになっており、全体の87%が非公開予算だ」と言った。

一方、統一部は21日、南北交流協力推進協議会を開き、800万ドル(約9億円)規模の対北朝鮮人道支援計画を議決する予定だ。


2017/09/21 09:59
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/09/21/2017092101023.html