安倍晋三首相は21日午後(日本時間22日未明)、ドナルド・トランプ米大統領と、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領との3カ国首脳会談を米ニューヨークで開催した。「核・ミサイル開発」を強行する金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮に最大限の圧力をかける方針で一致した。

ただ、日米両首脳は、韓国が直前に決めた800万ドル(約8億9000万円)相当の対北朝鮮人道支援に対し、「今がその時なのか」などと強い口調で詰め寄ったという。「従北」文氏率いる韓国の孤立化が際立った。

日米韓首脳会談の目的は、北朝鮮の暴走を阻止することだ。これまで、北朝鮮の核開発凍結や放棄をめぐり、1994年の「米朝枠組み合意」や、2005年の「6カ国協議による合意」が交わされてきたが、北朝鮮は合意を破って、裏で核開発を続けてきた。

このため、トランプ氏は3カ国の昼食会の冒頭、北朝鮮と取引のある個人や企業、金融機関に対する制裁を強化する大統領令に同日署名したと発表した。大統領令は、核・弾道ミサイル開発の資金流入を阻止するのが狙いで、トランプ氏は「標的は北朝鮮ただ1国だ」と明言した。

安倍首相も「(日米韓の)結束の強さを北朝鮮と世界に示す。核放棄に向けた戦略を議論し、次の行動につなげたい」と首脳会談で呼び掛けた。

「世界の脅威」となり、国際的合意を裏切り続ける北朝鮮には、妥協を許さない「強い圧力」が不可欠だ。ところが、韓国が日和った。

韓国政府は21日、南北交流協力推進協議会を開き、国連児童基金(ユニセフ)や世界食糧計画(WFP)を通して北朝鮮に800万ドル相当の人道支援を実施することを決めたのだ。

この人道支援に対し、安倍首相とトランプ氏は首脳会談で、北朝鮮への圧力を損ないかねないとして、かなり強い口調で文氏に慎重な対応を要請したという。

文氏は、米軍の最新鋭迎撃システム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」の配備にもギリギリまで反対していた。文氏自身、保守勢力から「北朝鮮シンパ」と激しく糾弾され、大統領府のスタッフにも左翼学生運動出身者が多数入り込んでいる。

トランプ氏は「(文氏は)力に欠ける」と評するなど、いらだちを募らせてきたが、堪忍袋の緒が切れた可能性もある。

文氏は同日、国連総会の一般討論演説でも、北朝鮮の「6回目の核実験」を非難しながら、聯合ニュースによると「平和」という言葉を30回以上も連呼し、「北朝鮮の(体制)崩壊は望まない」と語ったという。

トランプ氏は19日の一般討論演説で、北朝鮮を「世界全体の脅威」といい、軍事行動に踏み切る事態となれば「北朝鮮は完全に破壊される」と断言。安倍首相も20日の一般討論演説で、「(北朝鮮に)必要なのは対話ではない。圧力だ」と言い切った。

文氏の国連演説や韓国の人道支援は、日米首脳の顔に泥を塗るような行為であり、今後、米韓同盟や日韓関係に亀裂が入る可能性もある。

国際政治学者の藤井厳喜氏は「『従北』の文政権では、日米と足並みをそろえて北朝鮮に圧力をかけるのは難しい」といい、続けた。

「人道支援以外にも、韓国政府は対北朝鮮投資事業を含む来年度南北協力基金(約1000億円)を編成したとの報道がある。圧力どころか、北朝鮮への協力姿勢を崩していない。

年末にかけて、米国は独自の経済制裁だけでなく、朝鮮半島周辺への空母打撃群派遣など軍事的圧力も強め、緊張度は一気に高まるだろう。韓国と一緒に対応することは不可能で、改めて日米同盟の真価が問われる」

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170923/soc1709230002-n1.html

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