在日本大韓民国青年会、在日韓国人法曹フォーラム、のりこえねっとなどが参加する「1006アクション実行委員会」は、10月6日に東京都庁前で抗議活動を行った。

東京都の小池百合子知事が代表を務める希望の党が、民進党からの公認希望者に署名を義務付けた「政策協定書」に「外国人への地方参政権付与反対」を盛り込んでいたことに抗議する目的だ。

希望の党の公認を得るためには同協定書への署名が条件といわれ、「“踏み絵”ではないか」と物議を醸した。同会は「日本社会で生きているすべての外国人の人権を阻害する『参政権反対』の項目の即時撤回」を求めた。

冷たい雨が降るなか、参加者は「希望の党は、外国人地方参政権に反対する項目を撤回しろ」「小池都知事は関東大震災の在日韓国・朝鮮人追悼文を送れ」「多様で差別のない社会の実現のために努力しろ」「政治家はヘイトやレイシズムを許すな」とシュプレヒコールを上げた。

この抗議活動に先立ち、筆者は在日韓国青年会中央本部会長の朴裕植(パク・ユシ)氏にインタビューを行った。

「『寛容な保守』を掲げつつ、希望の党が外国人に対する地方参政権に反対することについて、『そこまでやるか』という思いがあります。そもそも残念ながら、外国人地方参政権は選挙の争点にもなっていません。

小池氏の政治思想については『右寄りである』とは考えていましたが、関東大震災の朝鮮人大虐殺について追悼文を送らなかったことも含めて、確信犯的な思想であると言わざるを得ません。

日本国は日本国民だけが居住しているわけではありません。外国人と共生しているのです。改憲と地方参政権はまったく別の問題です。フランスやイギリスでも外国人の地方参政権は認められており、保守派も過度な発言はしていません」

「排外主義的主張に恐怖を感じる」

小池氏は「ダイバーシティ」「多様性の社会」「共生の社会」を訴えている。一方で、なぜ外国人地方参政権に反対するのか。

希望の党や小池代表の政策には、大きな影響を与えている人物がいるとされる。保守系団体「日本会議」にも通ずる人物であり、かねて外国人の地方参政権反対を小池氏に唱えてきたとされる。同時に、復古的な憲法改正を提起するだけでなく、外国人に対して排外的な思想を持っているといわれており、その人物に小池氏が強く影響されているという見方が強い。

朴氏は「人権にかかわる政策課題を党利党略の“踏み絵”として扱うことは、たとえ少数政党であれ許されません。歴史的事実に対する否定も、偏狭なナショナリズムやレイシズムの土壌になり、社会の安定と平和を脅かします」と語り、さらに「排外主義的主張を“踏み絵”として利用することに、私たちは恐怖を感じます」と強い抗議の意を示した。

小池氏が笑顔で発した「排除します」という言葉には、民進党のリベラル派だけでなく、在日コリアンをはじめとする外国人も含まれているのではないか。また、在日コリアンをはじめとする外国人との共生社会を目指す日本人も含まれているのではないか……そう危惧する人も少なくない。

『ネットと愛国』(講談社)の著者でジャーナリストの安田浩一氏も、この抗議活動に駆けつけており、以下のように語った。

「多様性とは、すべての人の生きる権利と尊厳を認めること、存在を認めることから始まる。地域に住む人々を守るため、日本社会の寛容と多様性を守るため、小池氏が自ら口にした『寛容』と『多様性』という言葉を突き返そう」

政治には、日本人だけではなく外国人も含めた包容の精神が必要である。「小池氏には、それが欠けているのではないか」という思いを抱く有権者が増えたのか、希望の党の支持率は下がっている。

小池氏はかつてヘイトスピーチや排外主義的な主張を持つ団体および活動家とのつながりもあったが、今はその痕跡をホームページなどから削除している。小池氏の笑顔の裏に、歴史と向き合う精神があるのか。また、ヘイトスピーチなどについて、どう考えているのか。在日コリアンをはじめとする外国人は、そうした点を不安視しているのが実情だ。

在日コリアン「希望が絶望」

http://biz-journal.jp/2017/10/post_20897.html

>>2以降に続く)