【ニューヨーク=上塚真由】北朝鮮政府が、国連機関の職員派遣制度を利用して男性職員をニューヨークの国連本部に送り込み、この男性が9月に本部中枢の政治局に着任したことが11日、分かった。国連関係筋が明らかにした。

核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対し、国連安全保障理事会は制裁決議を重ねており、日米両国は内部情報の漏洩(ろうえい)の恐れがあるとして採用に反対し、事務局に懸念を伝えていた。

北朝鮮が利用したのは「JPO派遣制度」。国際機関で働くことを目指す若者を対象に、派遣国が経費を負担して一定期間派遣し、正規職員として必要な知識や経験を積ませる仕組みとなっている。

北朝鮮は今年3月、国連と同制度の覚書を結び、政治局でのポストを目指して手続きを進めてきた。派遣された男性職員は、北朝鮮高官の通訳も務めたことがあるエリート外交官とみられる。

採用を管轄する国連幹部は7月の会見で「国連加盟国はどの国も、JPO派遣制度に応募する資格がある」と述べ、制裁対象の北朝鮮も例外ではないとの見解を示していた。北朝鮮は国連事務局に対しても反発を強めており、内部から揺さぶりを掛ける狙いもあるとみられている。

http://www.sankei.com/world/news/171012/wor1710120024-n1.html