日本海沿岸で、北朝鮮籍とみられる木造船の漂着・漂流が相次いでいる。経済制裁が強化されるなか、悪天候下での無謀な漁が原因とみられるが、不自然な漂着もあるという。警察・公安当局は、何者かが「闇上陸」した可能性も含めて、徹底的な追跡捜査を進めている。背後には、北朝鮮に通じる国内過激組織の「人手不足」という特異事情も指摘されている。

 「北朝鮮の木造船が次々に漂着している。異様だ。北朝鮮は兵器化された天然痘ウイルスを持っている。もし、上陸者ないし侵入者が、天然痘ウイルスを持ち込んだ場合、無限というほど広がっていく」

 自民党の青山繁晴議員は11月30日の参院予算委員会で、こう問題提起した。野党議員は「モリカケ」追及に必死だが、北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)発射を受けた朝鮮半島情勢の緊迫化など、日本が直面する危機は並大抵ではない。

 連続する木造船漂着にも、警察・公安当局は重大関心を寄せている。

 「現時点で、保護された乗組員はほぼ漁師とみられる。ただ、別の同乗者がいて『闇上陸』した可能性は捨てきれない。船の大きさに比べて、乗組員が少ないケースがある。陸地で待ち構えていた人物がいないか、不審な車両がなかったかなど、追跡捜査を進めている」(当局関係者)

 秋田県由利本荘市に11月23日夜、木造船で漂着し、県警に保護された8人を乗せた車両は2日未明、由利本荘署を出た。出国に向けて長崎県大村市の入国管理施設へ移送されるとみられる。

木造船は漂着直後の11月25日朝には沈没した。これにも違和感がある。同種の船には「最低17〜18人乗る」との脱北者証言もあるのだ。

 「本当に乗組員が8人だけかを確認するには、船内の荷物や積載物、ゴミなどを調査し、8人のDNAと船内に残されたDNAを照合すれば分かる。彼らがいう漂流期間が正しいかも、燃料タンクの内部などを分析すれば、簡単に分かる。ところが、一夜で沈没した。漁船は簡単には沈まない。おかしい」(同)

 警察・公安当局が警戒するのは、朝鮮半島情勢が緊迫した後、都市部の駅に汚物が置かれるなど「テロの予行演習か?」と疑われる事案がいくつか発生しているためだ。

 加えて、北朝鮮に通じる国内過激組織の特異事情も影響している。公安関係者はいう。

 「日本でさまざまな情報に触れ、北朝鮮のために『テロ実行犯』になる若者が減り、過激組織が高齢化している。このため、『半島有事には北朝鮮から実行犯が潜入する』とみられている。有事に国内テロが起きれば、日本人は動揺する。北朝鮮に近い左派政治家の扇動で、日米同盟批判や政権批判がわき起こりかねない。木造船の連続漂着は要警戒すべきだ」


2017.12.4
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/171204/soc1712040005-n1.html