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▲カン・ギョンファ外交部長官が9日午後ソウルの外交部ブリーフィングルームで韓日慰安婦合意処理方向関連の発表をしている。/ニューシス

カン・ギョンファ外交部長官が慰安婦問題について「日本政府に再協議を要求しない」と言った。そして日本が和解治癒財団に出した10億円も私たちのお金で充当するといった。これと関連して、再協議は要求しないと言ったが、合意を履行するとも言っていない。だから日本はだまされた...と考える人がいるようだ。そんな詭弁がどこで通じるのか。

私が見るに、日本は損することが全くない。10億円の行方は日本の関心事と全く違う。財団を存続させようが解散させようが日本には何の関心もない。日本が慰安婦合意を通じて得ようとした最重要目標はこれ以上、韓国政府が政府間の課題として慰安婦問題を日本に提起できないようにすることだ。

人々は忘れているが、韓国政府が慰安婦問題を対日外交の核心課題にしたことは政府が願ったわけではない。さらにノ・ムヒョン大統領の参加政府の時にも慰安婦問題を前面に出したことはない。ノ大統領は就任初期に過去の問題を任期中取り上げないと宣言までした。そうした状況が一変したのは憲法裁判所で不作為違憲という決定が下されたからだ。

韓日協定との関係で解決できない事項だと政府が担当責任を解釈し、日本がそれを否認する状況は韓日協定解釈で紛争になりかねなかった。ところがその解釈差を解消するための外交的措置を取らないことが違憲という趣旨だ。憲法裁判所が行政府の外交的判断にまで干渉した行為を私としては納得できなかったが、どうあれ政府は違憲状況を避けるために日本に慰安婦問題を外交問題として提起するほかなかった。

問題は日本に外交問題として提起しても対日関係の管理を念頭に置きながら強弱と速度を調節する必要があること。しかし、パク・クネ政権の時は慰安婦全入外交をして韓日関係が完全にマヒ状態に陥った。そのため、日本が60年間守ってきた韓日協定で全部最終的に解決したという原則を破って合意した事実は非常に意味のある変化だった。

日本が戦後の基礎になる立場を変えながらも合意に応じた理由はたった一つだ。韓国政府がこれ以上、慰安婦問題を政府間問題として提起しないということだった。それが日本の合意の目的でアルファでオメガだ。そしてその合意に基づいて外交公館前の少女像問題を韓国政府に提起できる踏み台を作ることはおまけだった。

韓国政府が支援金を自分の予算で支給しようが財団を解散しようが日本側には何の影響もない。日本は合意上の義務をすべて履行したからだ。代わりに自分たちの義務履行を根拠に韓国側がこの問題を再び提起しないことを韓国の義務と規定してその履行を要求する。韓国政府が合意の再協議は要求しないと言ったが、いつ合意を履行するといったのか?のような愚かな発想で精神勝利してスルーできる問題ではない。

結論を言えば、韓国政府は慰安婦合意を否定しないなら、日本に対し慰安婦問題を提起してはならない。再協議を要求しないと言うのは、そうするという言葉に解釈される。日本はこれについて何の問題もない。政府間の問題で慰安婦問題だけ提起されなければ良い。ただし、少女像問題は日本も玉虫色でやり過ごしてきたので合意を根拠にさらに強く要求することは難しいだろう。日本としてはそれは痛恨だ。

現政権は前政権の慰安婦合意で憲法裁判所決定の鎖を解いた。政府は少なくとも不作為違憲の声を聞かないだろう。鎖が解けた現政権は慰安婦問題でどれほど日本と対立点をたてる用意があるのか?

日本からこれ以上出てくるものはない。パク・クネ政権合意より進んだ合意は不可能だ。上手くやれば一生平行線で下手すれば両国関係は管理不能だ。以前の南北関係を考える時、日本をほとんど唯一の無料金脈と考える人々が盧武鉉政権にいた。実際、日朝国交正常化などはまだ消えない火種でもある。今の政権はどんな選択をするだろうか?政権をとる前と後の状況変化を管理すべきなのに、思いのまま二匹のウサギを捕まえることができるだろうか?

世の中そんなに甘くない。それだけが真理だ。

文|シン・サンモク/元外交官・和食店経営
<このコラムはコラムニスト個人の見解で。>

ソース:朝鮮pub(韓国語) ムン・ジェイン政府の慰安婦後続処理...日本は全く損をすることがなくなった理由は?
http://pub.chosun.com/client/news/viw.asp?cate=C03&;mcate=M1001&nNewsNumb=20180127560&nidx=27561