https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180112-00054114-gendaibiz-int

北朝鮮の主張を鵜呑みに

朝鮮半島情勢が新年早々から動き出した。北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が新年の辞で平昌五輪への参加を表明し、9日には南北閣僚級会談が開かれた。北朝鮮の意図は何か。そして、日本の左派たちは何を言い出すのだろうか。韓国と北朝鮮が閣僚級会談の後、発表した共同報道文によれば、双方は「五輪成功に協力する」「北朝鮮は選手団のほか高官級代表団を派遣する」「軍事当局者の会談を開く」「南北間の問題は同じ民族同士で対話と交渉で解決する」などで合意した。最後の「同じ民族同士で問題解決」というくだりは当然、米国をけん制する狙いである。それは北朝鮮の首席代表が共同報道文の発表で記者団を会場に招き入れた後、カメラの前で語った言葉にも表れている。

首席代表は「我々の原爆や水爆、大陸間弾道ミサイル(ICBM)は徹頭徹尾、米国を狙ったもので同族を狙ったものではない。中国やロシアを狙ったものでもない。朝鮮半島非核化の話を持ち出せば、今回の合意は水の泡になる」と語ったのだ。こういうセリフを聞くと「なんだ、そうか。敵は米国だけなのか」と安心してしまう向きもあるのではないか。さらに一歩進めると、韓国では「それなら、オレたちが米国との対立を仲介しよう」という声が出る可能性がある。日本では「北朝鮮の敵はやはり米国だ。日本が米朝のケンカに巻き込まれるのはゴメンだ」とか「日本が米国に追従すれば、日本も敵視されてしまう」という話になりかねない。それが、まさに北朝鮮の狙いである。

「安倍政権が煽っている」論の奇妙さ

中略


ここで止めねば、さらなる危機を招く

 そこで本題である。ではなぜ、北の核を認められないか。

第一の理由は「彼らはテロリスト国家である」。日本人拉致問題は言うに及ばず、彼らは実際に何度もテロを実行してきた。テロリスト国家には「核を使えば核で報復する」という脅しが効かない。中ロはこの「脅しの原理」(相互確証破壊=MAD)を理解しているから、核による共存が可能になる。だが、何をしでかすか分からず、自国民の生命、人権などなんとも思わない独裁者には、反撃の脅しで核使用を思いとどまらせる保証がないのだ。第二の理由は、彼らがテロリスト国家であるからこそ、核保有を認めてしまえば、別のテロリストに核が流出する懸念がある。そして第三に、北が核を持てば、韓国や日本も核を持たざるを得なくなる可能性が高い。韓国や日本が自前の核を持たなくても、米国が再び韓国と日本に核兵器を配備せざるを得なくなるかもしれない。いくら運搬手段が発達しているとはいえ、米国がグアムから反撃するよりソウルや横田、佐世保から反撃する体制を整えたほうが抑止効果は高いだろう。つまり、北の核を容認できない根本的な理由は世界と東アジア、とりわけ日本の安全と平和が不安定になるからだ。「盗人にも三分の理」ではないが、北朝鮮の核開発にもそれなりの理由はある。それを理解したうえで、なぜダメかを指摘しなければ説得力はない。左派系ジャーナリストの「煽り論」は安倍政権批判の道具にすぎない。彼らこそが「安倍政権こそが悪玉」と煽っているのだ。そうした論者の言い分にいくら耳を傾けても、頭が濁るだけだ。世界と日本の平和と安全を考える手助けにはならない。時間のムダである。