開幕を直前に控えた韓国・平昌の五輪施設で、警備員ら86人がノロウイルスに集団感染したと7日、韓国・疾病管理本部が発表した。くわえて関係者1016人も症状を訴えて検査中と伝えられ、現地では緊急事態の様相を呈している。

「同五輪の組織委員会によれば、感染が確認された86人のうち、58人は同じ宿舎に滞在する民間の警備要員。しかし、その他に報道関係者が宿泊する施設の調理員も含まれていたことから、パンデミックへの懸念が広がっています。幸い、まだ選手への感染は現在確認されていませんが、感染が確認された人たちは隔離され、施設を消毒するなど組織委は対策に追われているようです」(週刊誌記者)

ノロウイルス感染症は、主に気温の低い冬場に多発し、嘔吐、下痢などの急性胃腸炎症状を起こす。感染者の糞便や吐瀉物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃からも経口感染するため、感染力が非常に強い。多くの人が行き来する五輪施設ゆえ、その恐怖は計り知れない。前出の記者は「今回の事件が予見されていた」と説明する。

「今月4日には韓国のテレビ局『テレビ朝鮮』のニュース番組が、ソウルの5ツ星高級ホテルで”トイレを磨いたタワシでコップまで清掃している”という実態が伝えられ話題になったんです。番組の中では、清掃する従業員がタワシに便器の中の水を含ませた後、そのタワシで部屋を隅々まで掃除。カップの水拭きに使うのは、なんと宿泊客が使用後に床に放置していったタオルでした」

一見、世界の一流ホテル同様に美しい室内だが、実情は恐ろしい衛生観念。SNS上に広まったこの映像に、世界の視聴者は戦慄した。もちろんソウルの全てのホテルがこのような清掃がされているワケではないが、今回のノロの急速な拡大をみれば、背景となった遠因を感じなくもない。また、ノロの広がりに韓国のトイレ事情を指摘する声もある。

「韓国のトイレは水洗ではあるんですが、一流ホテルであっても、使用したトイレットペーパーを流さず、個室にあるゴミ箱に捨てるというのが通例だったんです。そこで去年、韓国・行政安全省はあわてて公衆トイレにある全ゴミ箱を撤去する法令を施行しました。

ところが、ゴミ箱がなくなったことで、かえって床に使用済のトイレットペーパーを捨てる人が増え、公衆トイレが以前に増して汚くなってしまったんです。さらに韓国の下水管は元々細いので、昨年はトイレ詰まりも多発。ゴミ箱を撤去したソウル市内の地下鉄の男女トイレでは8月に1049件、9月には1448件もの詰まりが発生してるとか(産經新聞1月26日)。下痢からも感染するノロゆえに、このトイレ事情が心配されています」(別の新聞社会部記者)

さらに同記者は、韓国の詰まりやすい下水事情もあって、88年から糞尿や生ゴミを日本領海線に接する大陸棚に海洋投棄しており、ここからも食中毒の危険を心配する。16年6月には米食品医薬品局(FDA)が韓国産の牡蠣・ムール貝・ホタテなどの貝類が海洋投棄により食中毒を引き起こす恐れがあると流通業者に販売禁止を通告していたという。

「平和の祭典」を脅かすパンデミックの恐怖。選手たちはもちろん、240万人ともいわれる観客たちへの感染がないよう韓国政府の対応に期待したい。


2018.02.09 08:20
http://dailynewsonline.jp/article/1402338/