写写丸が見た「平昌五輪」そして観客は誰もいなくなった

強烈な寒さが発揮され、「史上いちばん寒い五輪」というキャッチコピーも定着するようになった平昌五輪。

アルペンは軒並み延期、スノーボードは転倒続出と、気温以上に猛威を振るっているのが「平昌の強風」だ。これも相まって、現地では体感温度マイナス20度、いや30度近いなんていう噂話が出ている。

寒さは選手たちにも影響を及ぼしている。

スキージャンプ界の「レジェンド」葛西紀明は、10日に行われた個人ノーマルヒルの決勝後、寒さについて「信じられないくらい。風の音がすごくて怯んじゃうくらい」と述べた。

実際の競技も1時間近く予定時間をオーバー、ジャンプ台の上で待たされる選手たちも、あまりの寒さに係員から毛布をかけられていた。

しかし、最大の悪影響は観客席に起きていた。

決勝1本目が始まる前、観客席はほぼ満員だった。立ち見客も、折り重なるように集まっていた。けっして韓国が強い競技ではないにも関わらず、注目度は高かった。大ジャンプが出れば会場が割れんばかりの大歓声。思わぬ熱狂ぶりだった。

ところが、2本目が始まるときに観客席を見ると、なんと観客は既に半分ほどしか残っていなかった。地元・韓国の選手が2本目に進めなかったこともあるが、やはりそれ以上に寒さの影響があったのだろう。

観客の多くは外気にむき出しの客席ではなく、風を防げるテントや通路に避難。1本目に比べると、悲しくなるほどのスカスカ状態になってしまった。

売店でコリアンフードを買ってなんとか体を温める観客もいたが、席に戻る者は少なく、最後のメダル決定の瞬間、周りを見渡すと観客は当初の3割ほどだった。

観客はそそくさと帰っていったが、選手のコメントを取るため、写写丸たち記者は帰れない。結局、競技終了後もしばらくマスコミ陣の「寒さ我慢大会」が始まった。

この寒さと風は、もはや寒いを通り越して痛いという感じである。2枚重ねの手袋でも指先は芯から凍るようだし、顔を露出していると皮膚の感覚がなくなり、じんわりと痛みだす。

葛西紀明が帰ってきて、最後に見事7位入賞を果たした小林陵有が帰ってきて、ようやく我慢大会は終了した。あるテレビスタッフの手元を見ると、そこには1本まるごとカチコチに凍ったお茶のペットボトルが……。

はっきり言って、「史上いちばん寒い五輪」はテレビで見るのがいちばんかもしれない。

ソース:SmartFLASH 2018.02.13
https://smart-flash.jp/sports/33950
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