2020年3月から中・高校生が学ぶ歴史教科書の執筆基準から削除する予定だった「韓国戦争『南侵』」の表現が再び含まれることが12日、確認された。

韓国教育課程評価院が昨年8月から準備している新しい歴史教科書の執筆基準試案は、大韓民国の発展を扱い、「北朝鮮政権の全面的な南侵で勃発した韓国戦争」という学習要素がなくなり議論になった(東亜日報5日付A8面参照)。

最近、教育部と国会教育文化体育観光委員会などは、「韓国戦争の南侵という明白な事実が抜ければ、消耗的な論議だけが生じる恐れがある」という意見を評価院に伝えたという。評価院は12日、「各界の意見をまとめ、内部審議会を通じて修正・補完中」とし、「3月初めに最終報告書を出す」と明らかにした。

これまで国定歴史教科書(2015改定教育課程)執筆基準は、「北朝鮮政権の全面的南侵で勃発した韓国戦争」と表現した。一方、新しい執筆基準試案は、「韓国戦争の展開過程と被害状況、戦後の南北分断が固定化する過程を見る」とだけ記述した。

これに対して評価院関係者は、「歴史教科書の執筆基準が細かすぎるという学界や教育界の指摘により、学習要素を最小限にした」とし、「韓国戦争の南侵は、戦争の展開過程を叙述する中で自然に含まれると考えた」と強調した。しかし歴史学界では、「韓国戦争の北朝鮮の責任が薄くなれば、大韓民国の正統性が否定される恐れがある」とし、「特定史観が記述され得る道を開いた」と懸念した。

1948年「大韓民国樹立」は予定通り「大韓民国政府樹立」と記述される可能性が高い。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨年8・15の祝辞で、「2年後の2019年は、大韓民国の建国と臨時政府樹立100年を迎える年」と述べた。文政権は、大韓民国の建国を1948年ではなく1919年の臨時政府樹立と見ている。1948年を「大韓民国樹立」と記述した国定教科書は、昨年5月の文氏の指示で破棄された。

「自由民主主義」か「民主主義」かという論争は続く見通しだ。金相坤(キム・サンゴン)副首相兼教育部長官は同日、あるメディアとのインタビューで、「意見を収斂する過程で問題があるかも知れないが、民主主義という表現そのものは間違っているわけではない」と強調した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府時代、2007年の改定教育課程でも民主主義が使用され、その後、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クンへ)政府時の改定教育課程では自由民主主義が使用された。教育界では、政府与党が改憲を推進する状況と相まって、6月の地方選挙後に結論が出るという観測が優勢だ。

教育部は3月初め、評価院の執筆基準最終報告書を受け取れば、教育部の教育課程審議会の検討を経て、遅くても6月中に確定告示する計画だ。当初の計画より4ヵ月も遅れ、歴史教科書の拙速製作が懸念されている。2020年3月から歴史教科書が配布されるには、出版社の検定図書開発8ヵ月、検定審査期間7ヵ月ほどしか残っていない。教育部は「検定審査委員を大幅に増やし、検定期間を短縮して執筆期間を最大限確保する」と明らかにした。

禹慶姙 · 林雨宣

ソース:東亜日報日本語版<歴史教科書、「韓国戦争南侵」再び記述>
http://japanese.donga.com/List/3/all/27/1224080/1