韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、三・一節(独立運動の記念日)記念の演説で慰安婦問題について「加害者たる日本政府が『終わった』と言ってはならない」と主張した。女性家族部(省に相当)の鄭鉉栢(チョン・ヒョンベク)長官も、1週間のうちに国連で相次いで慰安婦問題を提起した。

しかし日本政府は、「最終かつ不可逆的解決」を明記した2015年の慰安婦合意に違反するものだとして強く反発した。日本は文大統領の演説を、合意の破棄と受け止めている。両国間の対立が激化することは避けられない。

文大統領の言う通り、かつての日本は慰安所を作り、韓国やほかの国々から連れてきた女性を性奴隷にした。それゆえに2015年の韓日間の外交交渉を通して、日本の首相が公式に謝罪し、日本政府の公式の予算で慰労金を支給するという合意を行った。

最終かつ不可逆的という非外交的表現が入った問題はあるが、韓国の歴代政権の慰安婦交渉の目標をかなり達成した合意であることも事実だ。

韓国政府がこの合意を否定したいのなら、その後どうするという戦略がなければならない。これまでの状況を見ると、そうではなさそうだ。文大統領は慰安婦合意のプロセスを調査すると発表した後、再交渉を要求しないまま、慎重な姿勢を示してきた。

大統領府(青瓦台)の補佐官は、日本メディアとのインタビューで「文大統領は日本に追加要求をしないだろう」と語った。それなのに態度が変わったのだ。

韓国の唯一の同盟国である米国は、韓米日3カ国の協力を基盤として北朝鮮の核と対峙(たいじ)する戦略を立てている。有事の際、米軍の増援兵力の大部分は日本にある米軍基地から発進することになる。北朝鮮の攻撃対象になっている日本がこれを拒否したら、深刻な状況になる。

日本は韓国よりも強力な外交組織と資源を持つ国だ。国際的な評判は高く、影響力も強い。こういう国と外交で全面戦を繰り広げるつもりなら、緻密な準備をしなければならない。そうでなければ、日本から逆にやられかねない。


2018/03/02 09:59
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