【産経抄】韓国は本当に米国にとって重要なのかも議論され始めた

韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は1日のトランプ米大統領との電話会談で、近く北朝鮮に特使を派遣する方針を伝えた。これについて、サンダース大統領報道官は、朝鮮半島非核化のプロセスとして歓迎の意向を示したが、さて米国の本心はどうか。対北融和路線を突き進む文政権への警戒心を、一層強めたのではないか。

▼「米国では今、『韓国疲れ』が広がっている」。先日、韓国駐在経験のある知人の外交官からこんな話を聞いた。北朝鮮危機を契機に、政府・軍レベルで韓国との接触・対話が大幅に増えたことで、米国は今さらながらに韓国の安全保障観や対北認識などの異質さを思い知ることになったのだという。

▼これまで米国では、一部の韓国専門家が、韓国の考えを米国人が理解できるように「翻訳」し、周知していた。それが通用しなくなり、米国はむき出しの韓国を知って「この人たちはいったい何なんだ」と当惑しているのだそうである。

▼2日には、有能な「翻訳者」だった米国務省のジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表が辞任した。いったん駐韓大使に内定し、取り消されたジョージタウン大のビクター・チャ教授もその一人だったろう。米政府では対北融和派の退潮が目立つ。

▼米国内では最近、韓国は本当に米国にとって重要なのかも議論され始めた。トランプ氏も文氏に不信感を持っているとされる。米国が韓国観を改めるのは日本にとり別に悪い話ではないが、そのまま退いていけばどうなるか。

▼北朝鮮の金日成主席(当時)は1980年、南北統一の方策として「高麗民主連邦共和国制」を提案した。その前提条件は「朝鮮半島の緊張緩和」「米国の干渉中止」などである。その日が来るのは、意外と近いのかもしれない。

ソース:産経ニュース 2018.3.3 05:03
http://www.sankei.com/world/news/180303/wor1803030004-n1.html