群馬朝鮮初中級学校 県補助金受給を断念

各地の自治体で朝鮮学校への補助金支給を見直す動きが出ている問題で、日本の小中学校に相当する群馬朝鮮初中級学校(前橋市荒牧町)が、県からの補助金受給を二〇一七年度分は断念したことが十二日、分かった。同校の補助金が打ち切られるのは支給開始以来の過去約三十年で初めて。(菅原洋)

学校関係者によると、県が支給条件として現在使用している自国の教科書に拉致問題の記載を求めたため、同校は拉致問題を扱った日本の教科書を副教材に使うなどの努力をしたとしている。教員は子どもたちに「拉致はあってはならず、二度と起きてはならない」などと教えているという。

しかし、県は朝鮮学校の教科書にこだわって条件を満たしたとは認めず、同校は支給の可否が確定する今月下旬までに拉致問題を入れた自国の教科書を用意するのは難しいと判断したとみられる。

同校は単年度収支の赤字が続く厳しい財務状況にあり、運営のために昨年には校庭二千平方メートル強を売却。一六年度に県が児童・生徒計約四十人分として支給した総額約二百四十万円は、主に十一人いる教職員の人件費に充てた。

県はもう一つの支給条件として、同校が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と関係がないことを明確にするようにも要求。これに対し、同校は県に財務情報を示し、朝鮮総連から資金支援がないことを説明してきた。同校の教職員と学校法人の理事に、朝鮮総連の県本部の役員はいないという。県は条件は二つとも満たすように求めている。

朝鮮学校への補助金支給を巡っては、文部科学省が一六年三月、各都道府県に事実上再考するように促す通知を出した。

こうした流れを受け、県は同校への補助金を一六年度までは当初予算に計上してきたが、一七年度から見送っている。ただ、一七年度分については、開会中の県議会が閉会する今月二十日までに同校が県の示した二条件を満たせば、追加議案として提案する可能性が残っていた。

県学事法制課は「現在までに一七年度分の不支給を決めた事実はない。ただ、これまで二条件とも満たされておらず、閉会日までに学校から(条件を満たしたとの)提示がない時点で、不支給が確定する。その後に提示があっても、補助金の支給を議会に諮らずに専決処分することはあり得ない」と説明している。

ソース:東京新聞 2018年3月13日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201803/CK2018031302000154.html