5月に開催が予定されている米朝首脳会談の場所をめぐり、米国と北朝鮮の間で激しい神経戦が繰り広げられている。史上初の首脳会談となるだけに、その行われる場所が持つ象徴的な意味合いは非常に大きく、また会談の雰囲気や結果にも大きく影響するとみられるからだ。

 今のところ板門店が有力視されてはいるが、ホワイトハウスのシャー副報道官は「(首脳会談の場所として)ホワイトハウスも排除しない。トランプ大統領が北朝鮮に行くとは思えない」などとした上で「首脳会談前に北朝鮮が核とミサイル実験を中断する約束などを実行に移さねばならない」とくぎを刺した。首脳会談の開催に向けた米朝による実務交渉の過程で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に訪米を打診するとも取れる発言だ。

 しかし金正恩氏が訪米に応じる可能性については米国国内でも非常に低いとみられている。金正恩氏は2012年に権力を握ってから一度も北朝鮮を出たことがなく、また警護やセキュリティーにも非常に神経質だからだ。このことを知りながら米国がホワイトハウスに言及したのは、北朝鮮が本当に対話に応じる考えがあるのか探るためとみられる。金正恩氏を米国に呼ぶことができれば、非核化に向けた交渉もやりやすくなるだろうし、また首脳会談に向けた実務協議の段階から、北朝鮮に主導権を握られたくない意図もあるからだ。

 金正恩氏は当初、会談の場所として平壌を希望していると伝えられた。しかし米国がこれに応じる可能性は低いと判断し、取りあえずは板門店を優先順位の上位に上げているようだ。北朝鮮は南北首脳会談も板門店で行うことを決めている。北朝鮮は金日成(キム・イルソン)放送大学の講座で「板門店は自主統一のシンボル」「米国から降伏文書を勝ち取った歴史ある場所」などとしてそれなりの意味を持たせようとしている。板門店でトランプ大統領に会うことで今の停戦体制を終わらせ、これまで北朝鮮が主張してきた米朝修好を実現させれば、平和体制に転換できるという期待も込められているようだ。

 一方の韓国政府は米朝会談の場所として板門店はもちろん、済州島やソウルなども検討しているという。米朝首脳会談だけでなく、第2次南北首脳会談や韓国・北朝鮮・米国による3カ国首脳会談なども立て続けに開催できるからだ。また海外ではこれまで米朝間の橋渡しをしてきたスウェーデンやスイス、あるいは中国、モンゴルなど第三国も候補地として取り上げられている。

アン・ジュンヨン記者

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